1 護送の行方 1990年、民主化促進協議のためにヨーロッパ使節団がアルバニアの首都ティラナを来訪した。しかし政府の中には共産主義にこだわる人間も多数いて、使節団が刑務所訪問を希望していることを危惧し、15年投獄されている“教授”と呼ばれる政治犯レオ・コノミを、遠く離れた刑務所に護送させることになった。しかしその護送は表向きの口実で、彼らの本当の行先はティラナだった。それを知らぬ教授は、護送車ではない一般車だったこと、そして手錠を外されたことに奇妙さを感じていた。 ¥330 除外キーワードで絞り込む を除く