1 最後の乗客 タクシードライバーの間で“深夜、人気のない歩道に立ちずさむ女”の噂話がささやかれるなか、今日も遠藤はひとりハンドルを握リ閑散とした住宅街を流していた。いつもと変わらぬ夜―。噂の歩道傍で、手をあげる人影。顔を隠すように乗り込んできた女性が告げた行き先は「浜町」。走り出すや、路上に小さな女の子と母親の二人が飛び出してきた。どうしても乗せて欲しいと言って聞かないその母娘を同乗させると、行き先はやはリ「浜町」。奇妙な客と秘密を乗せたタクシーは目的地へと走りだす―。 ¥440 除外キーワードで絞り込む を除く