1 銀座の猛者 柔道六段の荒井熊介は大陸から引き揚げてきた医者で、銀座裏で「アライ診療所」を開設し、気軽な独身生活を楽しんでいる。彼を毎朝起こすのは「鳥銀」の娘・絹江で、彼女は熊介を起こすのを楽しみにしていた。趣味の高尚な彼女には目もくれず、熊介にはカナリヤさんこと立花マリエという忘れられない人がいた。今度逢う時は結婚しようと別れて五年、いまだに生死さえも分からなかった。「アライ診療所」には妻を亡くした友人で先輩の松原大三もあり、二人は貧しい人に親切をつくしていた。そんなある夜、けが人がいるという知らせを受けて、二人がバー・カナリヤに向かうと、そこで立花マリエと出会う・・・。 ¥330 2 三百六十五夜 新聞広告に掲載されていたとある屋敷の同居人募集記事に応募し、その令嬢・照子と相思相愛の中になっていた大阪出身の小六。小六の父親は、破産手前にある自身の会社・川北組を新興成金の小牧雄造からの資金援助で助けてもらおうと、小六に執拗に付きまとっていた小牧の娘・蘭子と政略結婚させようと企んでいた。小六はそれが嫌で東京へ逃げてきたのだった。お人よしの照子は、小六と川北組を助けるため屋敷を抵当に入れようとするが、頼んだ相手が運悪く、小六を蘭子の恋敵と妬む小牧商事の支配人・津川で、怪しげな契約書を取り交わし小切手を受け取ってしまう・・・。 ¥330 除外キーワードで絞り込む を除く