1 夜来香 終戦間際の難民で溢れかえる華北の町で、軍医の関三郎は矢吹秋子と出会った。二人は一目会った時から恋し合う仲となり、夢のような夜来香の香気に包まれながら幸せな夜を過ごす。だが所詮戦地での儚い恋であり、残酷にも二人の愛は引き裂かれることとなった。五年後、関は神戸の製薬会社に勤めていた。やがて関はかつて戦地で負った傷が原因で眼が見えなくなってしまう。失明を待つばかりとなり、いよいよ秋子への想いが掻き立てられていた。すると運命的な一夜が訪れる。街のとあるレストランでついに関と秋子は再開するのであった・・・。 ¥330 2 盗まれた恋 ガランとした三流劇場の踊り子たち…その中に交って蟹良子と能登半子がいる。二か月も無給のため懐具合も寂しく、ただ若いだけが取り柄の仲良しだ。空き腹を満たすため良子はあることを思いつく。早速半子を連れて銀座一流のレストランに行き、お腹一杯飲食した挙句、自信ありげに電話をかける。相手は東洋銀行の専務・阿久根だ。良子に関心を持っている阿久根に一先ず勘定を任せるが、常に自信満々に自分語りをする阿久根に腹が立ち、私には三文絵描きの許婚者がいると吹っ掛け、貧乏な若い絵描き・三田を紹介する。阿久根はたちまち新聞社と美術評論家・宗方を買収し、三田を天才に仕上げ、一躍有名にしてしまった。 ¥330 除外キーワードで絞り込む を除く