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COLUMN

【連載】もっともっと♥感じるためのAV講座
第11回 アダルトライター文月みほが見守ってきたAV業界18年の変化

今、良くも悪くもAV業界は多くの注目を浴びています。AV界はダークな業界なのか? それとも多くの女優さんがネット上で声をあげているようにクリーンな業界なのか? その真実を解き明かすお役にたちたくて、AV業界の取材を約18年に渡って行っている私が自分の目で見てきた業界のお話をしたいと思います。

AV業界を見守るふとっちょの魔法使い

「文月さんが思っているより、AV業界の闇は深いですよ」

もう随分、前の話しです。10年になるかなぁ。ある日、とある編集長にこう告げられました。1つ年下でゲーム仲間でもある彼とは、立場上の上下はありましたがフランクに話し合う仲。突然の一言に「…なになに脅し!?」とビックリしつつも、極めて冷静を装って答えました。

「でも、私、そういうの興味ないです。裏とか闇とか、それは他のライターが散々探っているじゃないですか。私は純粋に作品の評価をしていきたいし、キラキラしたAV女優さんの魅力を紹介する係りですから。余計な情報が入ってくると、それができなくなる気がして…」

「知ってます。だから、文月さんはずっと知らないままでいてください。そういうスタンスは同業者にはバカにされるかもしれませんけど、一般のユーザーにとっては必要不可欠な存在ですからね。生粋のAVファン程、業界や女優の闇など知りたくはないのだから」

私がアダルトライターになったのは、1998年。この編集長と知り合ったのは、2002年頃だったと思います。ライターとして駆け出しから頭一個分飛び出したばかりで、まだまだアダルトライターとしての今のような立ち位置は出来上がっていませんでした。この時、彼がくれたアドバイスは、AVというアンダーグラウンドな世界に足をつっこんだのなら、見たくないものを見てしまうかもしれない。しかし、私がAVを大衆娯楽作品、大人のファンタジーとして評価していると言う話をすると、「ならば、ユーザー目線でAV本来の魅力を追求するライターがいてもいいと思うし、文月さんがそれをするべきだ」とアドバイスをくれたのです。ライターには専売特許のようなものが必要で、皆と同じ事をしていても何の魅力もないのだからと。

それから、間もなく私はアダルトライターとして様々な雑誌に関わることになりました。AV専門誌『月刊DMM』の創刊ライターであったことが認められ、成人誌、週刊誌、そして情報サイト『メンズサイゾー』のAV担当ライターとしてサイトオープンから参加。月間で担当する媒体は約15誌にまで及び、AVの視聴本数は毎月150本前後。AV女優、男優、監督、メーカー社員などのAV関係者へのインタビュー取材は月に5~10件と急増したのです。ちなみに、この時期、急増したのは仕事だけではなく体重も…。SサイズからLLサイズへと急成長を遂げるのに1年とかからず、編集長に苦笑されたのでした。そして、彼につけられたあだ名が「AV界の良心」。絶対に太った善良な魔法使いをイメージしてるだろ~と気づいてはいるのですが、甘んじで受け入れていたりします(笑)

さて、これからお話するのは、女でありながらAVという娯楽作品に魅了され、「女にAVの何が分かる」と批判を受けながらも、AVの魅力を突き詰めることに尽力している私が見てきた約18年のAV業界の変動とAV女優さん達の変化です。

◆かつてAV業界には闇が存在しました

そもそも私がなぜ同業者にバカにされると言われてまで、キラキラなスタンスを貫いているのか? それは、事実、私の目にはそう映っているからなのです。アイドルのような若いAV女優さんたちは勿論の事、画面上ではどこにでもいそうなオバチャンに見えていた熟女女優さんでさえも、取材などでお会いすると「え? 本人? 美人!」と、ドキッと眩しくて頬を染めてしまうことがしばしば。

あ、私、レズでもバイセクシャルでもないですよ。女性の皆様なら理解していただけると思いますが、子供の頃からずっと変わらず可愛くて綺麗な女性が好きなんです。聖子ちゃんに憧れて聖子ちゃんカットを真似た、あの頃の気持ちと全く同じで、可愛くて綺麗なAV女優さんを見ると羨望の眼差しを向けずにはいられないのです。自分には出来ない、とろけるような快感に誘ってくれる濃密なセックスににも、心底惚れ込んでいるし、官能的なAVドラマを見てはうっとりとロマンスに浸っています。

こんな生粋のAVファンの私ですが、実はライターになって最初の2~3年はAV女優さんに会うのも怖かったし、撮影現場取材なんてもっての他。多くの皆様と同じように、ううん、その数倍はビビッていました。

ちゃんとした理由があったんです。ライターになる前、私が見ていたAVは、美少女がハニカミながら、大人たちに快感を教えこまれてしまうような甘酸っぱい作品ばかり。美少女特有のガラスのように繊細なエロティシズムを描きだしている作品こそ、至極のAVだと思い込んでいました。時は90年代初頭。後に知ったのですが、その時期は「AV黄金期」と呼ばれ、数々の美少女セクシーアイドルたちが活躍していた時代だったのです。そして、これが私をAVの世界へと誘うきっかけになったのでした。

しかし、1998年にアダルトライターとなった私は、AVには、もっと様々なジャンルがあることを知ります。それらを目の当たりにして腹が立ったり、理解できずに混乱したというお話は、以前もこのコラムでうちあけたかと思います。それが、AV史で言うところの、インディーズビデオブーム。 それまで業界の中核をなしていたビデ倫メーカーとは一線を画した個性的なAVメーカーが乱立した時代で、ごく1部ではありますが中には今では信じられないような怖い作品も流通していたのです。

その一例を紹介しますと、「この子、本当18歳?」と疑わしい幼すぎる美少女が出演するロリ作品や、本人の承諾を得ているのか怪しいアダルトショップのバックルームでこそこそセックスをするブルセラ作品。性器を傷つけてしまうのではないかと心配になるほどの激しい凌辱作品や、口の中いっぱいに排泄物を詰め込まれ窒息寸前の女の子を取り囲んでヘラヘラと笑う極悪非道なスカトロ作品。どこかの中●校の体育祭に潜入し、体操服の美少女を隠し撮りしているだけの作品を見つけた時には傷つきました。こんなものまでが、性の対象になっているなんて、娯楽作品もへったくれもない! 怒りました。落ち込みました。そして、ガッツリ病みました。こんな作品を好んで見る男性がいるのだという現実と、その中には名作と謳われる作品もあるのだというアンダーグランドすぎる世界に。

それでもほとんどは魅力的な作品でしたし、当時は、編集部から定期的に送られてくる新作AVのレビューをするだけの下っ端ライターでしたので「これも社会勉強のひとつ。性産業を知る上では避けて通れない道。でも、こんな怖い世界に首を突っ込みたくないし、取材なんてもっての外! 私は純粋にAV作品を評価するライターでいよう」と、距離を保っていたのです。それでも、これらの怪しい作品も、あくまで創作物であり、疑惑はただの疑惑なのだと信じていました。

それがまさか本当に法に触れていたと知ったのは、数年後でした。2004年『バッキー事件』として、今もAV業界の黒歴史として語り継がれているおぞましい事件が起きてしまったのです。主演女優に脱法ドラッグを吸引させたのち、複数の男性で押さえつけて肛門に浣腸器具を強制的に挿入するという強姦まがいの撮影が行われ、その被害を受けた女優さんは直腸穿孔、肛門裂傷という重傷を負わされました。そして、その撮影を行ったAVメーカー・バッキービジュアルプランニング関係者が逮捕されたのです。この事件をきっかけに、悪質なメーカー、販売業者が次々と摘発。自主規制の傘の元、やりたい放題だった悪質な作品はあっという間に姿を消しました。それに加えて、マネージャーが女優さんのギャラを持ち逃げしたり、豊胸手術を受けさせて多額の借金を背負わせるといった悪質なプロダクションの存在も表面化し、一斉に排除されました。今思うと一瞬の通り雨であったような気もしています。消え去った業者の中には、多くのライターに慕われ、私自身もとてもお世話になった編集さんもいました。人には裏の顔があるのだと思い知らされ、大きなショックを受けました。

◆事件後のAV業界

こうして、キラキラな世界だけを追求するはずだった私も、否応なしに業界の闇を知らされることになりました。本当にショッキングな出来事でしたが、こうした悪質業者が一掃されたことで、AV業界には再びの活気が戻ってきました。私が大好きだったAV黄金期を彷彿とさせる美少女女優が次々とデビューしただけではなく、バラエティーに富んだ企画作品が発売されるようになり、一気にエンターテインメント色豊かな業界へと発展を遂げたのです。 黄金期との違いは、当時は疑似で行われていたセックスシーンが、2000年を境にほぼ行われないようになり、実際のセックスが行われるようになったこと。それに合わせてAVスタッフは、女優さんをより慎重に扱うようになり、撮影の安全性と清潔さが重視されるようになったのです。それを知った私は、いよいよ意を決して撮影現場の取材を行うことに。そして、そこで目の当たりにした光景に、瞳を輝かせたのです。

「プロの現場だ!」と。

煌々とライトに照らされたスタジオにはりつめる緊張感は、映画撮影をも想像させるものでした。10人近くのスタッフが黙々と作業する様子を私は必死に観察しました。女優さんを傷つけてはならないと、照明器具は危険のない場所に設置され、撮り直しの負担をなくすために念入りにカメラチェックが行われ、ガンマイクをかざして音声チェックを行う音声さん、コンドームやローションを何度も確認するADさん。初めて見るバイブやロータ―は念入りに消毒がほどこされ、ほこりなど被らない様にラップに包まれて保管されていました。

そうして、数時間をかけた準備が終わると、AV女優さんが入ってきました。バスローブを羽織り、すぐ横には世話好きそうなメイクのお姉さんが控えていました。「ぶっかけというのが初めてなのでちょっと怖いです…」と、監督との打合せを行う彼女の声が聞こえました。「目に入ると危ないから、つむっていてね。顔をよけたりすると耳に入ったりして危険なので、動かずにじっとしていれば大丈夫だよ」と、丁寧に説明を行う監督の声が続き、最後に悪戯っぽく「精子を顔に浴びてお肌がツルツルになった女優さんもいるんだよ!」と笑う様子を見て、彼女に安心感を与えているのだと解りました。ちなみに、この現場を今でも鮮明に覚えているのは、素敵な出会いがあったからというのも理由のひとつ。ぶっかけシーンを終えて、控室にいた私は初めての現場取材にまだまだガッチガチに緊張していました。そこに、新人男優さんがかけよってきたのです。彼は深々とお辞儀をした後、笑顔で自己紹介をしてくれました。「鈴木一徹です。まだ新人ですが宜しくお願いします」と。AV男優さんと言えば、桜井ちんたろうさんのような強面や、吉村卓さんのようなキワモノキャラが目立っていたご時世でしたので、この時の一徹さんの爽やかな笑顔にはドキドキキュンキュンが止まりませんでした。

その後、夢中でセックス撮影の様子をカメラに収めて、無事に初取材は終了。しかし、その後、撮影した写真の半分はボツだと編集さんに言われました。その理由は「あのさ、男のケツの写真はいらないんだよね」。気づけは私、一徹さんの美尻にばかり見惚れていたようで…。残念ながら、その時は編集部のカメラを使ったため、写真は一枚も手元にありません。本当に残念(笑)

さて、当時AV業界で最も盛り上がっていたのは「AVの良し悪しを決めるのは女優の質か? 監督のこだわりか?」はたまた「売上本数か? 作品の完成度か?」など、クリエイティブな視点での論争でした。当時から人気だった『R-1グランプリ』にあやかって2005年には『D(ディレクター)-1グランプリ』が開催されました。さらに日本一のAV女優を決定する『AV OPEN』『スカパー! アダルト放送大賞』など盛大な式典も次々と開催されるようになりました。

AV女優さん達の意識が変化しはじめたのも、ちょうと同じ時期でした。著書『プラトニック・セックス』の発表で一気に知名度を上げた故・飯島愛さんによってAV女優のマイナスイメージが一変し、彼女に追いつけ追い越せと、AV業界には芸能人志望の美少女が殺到しました。それまでは「てっとり早くお金を稼いで、知り合いバレる前にさっさと辞める」のが常識でしたが、新人女優さんの大半が「AV界をステップに、芸能界に羽ばたきたい」という夢をほがらかに語るようになったのです。そして事実、人気AV女優たちが続々とTV業界に進出。 蒼井そらちゃん、及川奈央ちゃん、みひろちゃん、吉沢明歩ちゃん、明日花キララちゃんなどが、AV界と芸能界の垣根を越えて大ブレイクしていったのです。今、名前をあげた女優さんには全員インタビューをしましたが、皆、アイドル顔負けのルックスを持ちながらも、どこか謙虚な一面を持ち、高嶺の花でありつつも手の届きそうな親近感を覚え、それこそが芸能人にはないAV女優ならではの魅力なのだと感じました。

一方、芸能界からAV女優へと転身を遂げる女優さんも目立つようになり、毎月のように「大型芸能人AVデビュー」の文字がAV専門誌に踊りました。中でもAV業界を揺るがすほどの存在感を示したのが、2006年、当時グラビアアイドルとして写真集の売り上げナンバーワンを誇っていた青木りんちゃんでした。デビュー作はAV史を塗り替える異例の10万本ヒット。そんな彼女を初めてインタビューした日の事は忘れられない記憶です。先述の女優さんたちとは、まるで逆。恵比寿の駅前で写真撮影を行ったのですが、通る人が立ち止まるほどの堂々たる風格で、たわわな胸をツンと張り、新緑をバックにほほえむポーズは、隙のない美しさ。近寄りがたいオーラに魅了されちゃったんですよね!!

それから2年後の2008年。これまたAV業界に新人類がやってきて、AV界が一変します。アメリカ人の父親と日本人の母親を持つハーフ美少女・シェリー(当時は藤井シェリー)ちゃんです。AVデビューの動機をきくと「AV女優に憧れていたんです!」と、くったくのない爽やかスマイル1000%で答えた彼女。当時、AV女優が注目されていたとはいえ、まだまだ後ろ指を指される女の子も多かった時代。そんなことなどどこ吹く風と、ハーフの美少女が大手を振って門をくぐったのですから、当時のAV関係者たちは、どよめきましたよ~。私もビックリして「ここ芸能界と間違ってないよね?」とストレートに聞いてしまったほど。 「はい。友達はけっこう芸能界にいったんですけど、私にはAV界の方が魅力的だし、エッチが好きだし、職業としてもやりがいがありそうって思ったので」と、これまたニッコリ。しかも、セックスもアメリカン。派手すぎて監督が嬉しい悲鳴を上げたほどに。「新人なんだから恥らって欲しかったけど、君は人に見られて輝くタイプ。自分が思うままに楽しむのが一番だ」と。

そんなシェリーちゃんの登場をきっかけに「AV女優になりたい」と自ら志願してデビューする女の子が急増しました。2009年「私はカンパニー松尾監督のドキュメンタリーな作風のファンなんです。どうしても監督にハメ撮りして欲しくて、自分で事務所に電話しました」というましろ杏ちゃんがデビュー。2012年には、紗倉まなちゃんがデビュー。高学歴AV女優としても注目されましたが、私が驚かされたのはデビューの理由。「13歳の時、父が隠していたAVを初めて見た時から、AV女優になる日を夢見ていたんです。それで法律上問題のない18歳の誕生日の翌日にプロダクションを探して、AV女優にして下さいとお願いしたんです」。その後のまなちゃんの活躍は皆さんもご存じですよね。バラエティ番組への出演、CDデビュー、そして小説を出版するという多才な魅力を発揮しています。また、昨年は「AVが大好きで、私なんてムリだろうなぁとダメ元でプロダクションの面接を受けました。バイトではなく、就活です」と、聞かせてくれた人気女優さんもいました。皆、職業としてのAV女優に誇りを持ち、全身全霊でお仕事を謳歌しています。

◆近年のAV界の実情

こうして近年、積極的にAV女優になりたいと志願する女性が増える一方で、AV業界は悲惨な状況に追い込まれます。不況による売り上げの低迷です。数年前まで人気のあったAVメーカーでさえのれんをおろし、2011年以降は、業界トップクラスの大手メーカーも大きな打撃を受けています。月間の新作発売本数は2000タイトルを超えていると聞いていますが、よくみると不況の影響を垣間見ることができます。売り上げの見込みのある人気女優さんにばかり撮影が集中し、新人女優さんとの専属契約をするメーカーが減っているのです。結果、デビューしたくてもできないAV女優予備軍が増え続けています。

事実、私は複数の雑誌やサイトで新人インタビューを担当しているのですが、メーカーさんに取材申請をしても「すみません。今月は新人がいないんですよ」と断られることが多くなりました。公式サイトをみると「デビュー作」と書かれた作品が発売されているのになぜかと聞くと「それは1本限りの撮影で、うちの専属女優ではないので、インタビューなどのプロモーションは行ってないんです」との事。つまり、今のAV業界はデビューすることすら困難で、専属契約など夢のまた夢。専属デビューを飾ることのできる女の子は選ばれし逸材のみとなってしまったのです。

「それでもAVに出たい!」という新人AV女優たちの熱意の奥にあるものは、人気男優さんとセックスしたいという期待や、大ファンのAV女優さんと共演したいという羨望、草食彼氏には期待できないアブノーマルセックスへの興味など、性的な理由。また私と同様に、AV=エンターテインメント作品と捉え、物作りに参加するという意味で興味を抱く女優さんが大半をしめています。そういった夢を持つAV女優さんにAV界の印象を尋ねると「とてもクリーンな世界で驚いています!」と口を揃えて答ええます。実体験している彼女たちの言葉には信憑性があり、これでようやくAV業界は浄化されたのだなと、私もほっと胸をなでおろしています。

その背景にあるのは、女性向けAVの登場と、インターネット動画配信サイトの普及。ストリーミングやダウンロ―ドによって女性でも手軽にAV鑑賞ができるようになったことが要因です。かつては、女性たちにとってのAVとは「ヘンタイの男だけがみる不潔な映像」でしたが、実際の魅力に触れることで偏見が払拭され、もっと近しい興味の対象となったのです。そうそう昨年「GIRL’S CHの『男優と男優』が大好きで、男優さんに会いたくなってデビューしました」と、聞かされた時にはドキッとしましたね。「それ、私が企画したコンテンツなの」と話すと、目を輝かせて「ありがとうございます!」なんてお礼を言われ「いえいえ、こちらこそ」と、謎のお辞儀合戦が始まって…(笑)

さて、かなり駆け足でしたが、以上が、私が見てきた18年間のAV業界の変動です。かつては、無法地帯と勘違いされても仕方のないような怪しげな業者も根付いていましたが、今では姿をみかけることはありません。それでも、ブラック企業や悪徳業者は業界を問わず存在するのはたしかですし、悲しい話ですがAV出演を強制された被害者もいると報告されています。AV業界がクリーンか健全かと問われたら、闇の追及をしてこなかった私には答えることはできません。先述の通りそういう観点での取材は行ってこなかったので、無責任になってしまうからです。

しかし、私がみてきたAV業界は光り輝いていますし、現在も現場取材を行っていますが、女優さんに無理強いをした場面に出くわしたことは一度もありません。ハードな作品では女優さんの体力が十分回復するまでは、予定の休憩時間を延長して待機しますし、女優さんが泣き叫ぶようなレイプ作品もありますが、裏話をしちゃうと本番終了後に女優さんが良い顔してるんです。「えへへ…思わず感情移入しちゃった」と。そりゃあ、人間ですもの。「辛かった~」と愚痴をこぼす女優さんもいますよ。けれど、その目の奥には「でも、いい仕事したでしょ」とプライドが輝いています。

しかし、そうではない女優さんも、正直な話をすればいました。仕事欲しさに面接時には「私、ハードなこと大好きです」と言ってしまったらしく、現場には本格的な拘束具が用意されました。最初はやせ我慢していたものの、結局は撮影が中断。これ以上は難しいと判断した監督が急遽台本を書き換えて、ノーマルなセックスシーンにさしかえられたのです。ちなみに、その女優さんは、その後、姿を見かけなくなりました。人知れず引退してしまったようです。

AVは創作物でありファンタジーですが、AV女優さんの仕事は超シビア。セックスを本気で楽しみ、心と体のバランスが保てないような女優さんには、次の現場は用意されません。その理由は単純明快。次の女優候補がいくらでもスタンバイしているからです。それ故に、女優さんたちは、日々切磋琢磨しています。そのプロとしてのスタンスには、ドラマ女優もAV女優も違いはありません。凛としてかっこよく、艶やかで魅惑的!

◆まとめ

今回のコラムは、より多くの方がもっともっとAVとAV女優さんが好きになってくれることを祈って書きました。 だから、いつも以上に長く熱が入ってしまいましたが、最後まで読んで下さってありがとうございます。 あ、最後に言いたいこと、もう一つ。もし、身近にAV女優さんになりたいと考えている女性がいましたら「AV業界シビアらしいよ~」と、教えてあげてください。悪い輩が近づいてきて簡単に稼げると言われても、そんな甘い言葉を信じてはいけません。不況により製作費はここ10年で激減。女優さんのギャランティも同様です。そして、バラエティに富んだ作品に対応する為に、覚悟と努力と根性は必須。いくら女優さんに優しいとは言え、仕事は仕事ですからね。そして、男優さんを指名できるようになるまでには、それ相応の成果(売上げ)を出す必要もあります。それでも、「自分を求めてくれる人たちの気持ちに精一杯応えたい」と、本気で思える愛情溢れる女性だけが成功を掴む世界です。そんな今のAV業界の真実を伝える事。それが、これ以上の被害者を生まないための有益な活動であり、AV界のさらなる発展に繋がるのだと私は信じています。

◆ライタープロフィール

文月みほ(ふみづき・みほ)
アダルトライター。

1万5千本に及ぶAV鑑賞経験を活かし女性向け18禁イベント【花園AV女学院】を主催。AV専門誌をはじめ、アダルト系WEBサイト、週刊誌などにAVレビューやAV女優・男優インタビュー記事など多数掲載中。