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望海風斗さん Rakuten TV 独占スペシャルインタビュー

2021年4⽉に宝塚歌劇団を退団した望海⾵⽃さん。圧倒的な歌唱力を武器に、多くの舞台で「男役・望海風斗」の真骨頂を刻み続けてくださった記憶はいまも鮮烈です。そんな望海⾵⽃さんが、退団後初となるミュージカル『INTO THE WOODS-イントゥ・ザ・ウッズ-』出演を控えたいまと未来、そして宝塚時代の思い出やご自身の出演作について語ってもらった特別インタビューを全3回に渡ってご紹介します。
(撮影/岩村美佳、取材・文/橘涼香)

望海風斗さん
  • 第1回

  • 第2回

  • 第3回

景色を見るって楽しいなと

宝塚を退団されて半年あまり、毎日の生活や時間の使い方に変化はありましたか?

ゆとりはすごく生まれたのですが、宝塚時代には時間があれば劇団の稽古場でお稽古をしていたので、そういう場所がなくなってみて、改めてありがたい環境だったんだなと感じています。ボイストレーニングはスタジオに行ってやっていますが、身体のトレーニングは、動画を利用してやっているので、家で大汗をかいています(笑)。あとは近くでウォーキングをしたりの日々ですね。ずいぶん状況は良くなっていっていますが、やはりまだコロナ禍ということで、人との接触を積極的にはできない分、トレーニング動画がすごく役に立っています。

こうした状況下で、自宅でできるエクササイズの動画もとても増えましたから、それを利用していらっしゃるんですね。またゆとりも生まれたというお話ですが、そのなかでお気に入りになったことなどは?

朝ゆっくり景色を見ながらコーヒー飲んだりしていると、景色を見るって楽しいなと思いました。宝塚在団中はそうした時間を持つこともできていなかったので、季節や時間によって変わっていく景色を楽しんでいます。

在団中はそれほどお忙しかったということですよね。

やらなければいけないことに追われていたので。自分で勝手に自分を追い込んでいた部分も絶対にあると思うんですけれども。

景色を見るって楽しいなと

いえ、本当に宝塚歌劇団のみなさんは、ハードなスケジュールをよくぞこなされているなといつも感じます。そんな望海さんの宝塚退団後のミュージカル初出演となる舞台が、『INTO THE WOODS-イントゥ・ザ・ウッズ-』の魔女役ということですが、この舞台への期待や意気込みを教えてください。

もちろん宝塚時代にやっていたことと変わらない部分もあるとは思うのですが、本当に未知の世界への第一歩だなと思っています。出演者の方も色々なフィールドから集まっていらっしゃるので、何が起こるか分からない中に飛び込んでいけるのはすごく楽しみです。それだけに私からも臆せず、どんどん発信し続けていきたいという気持ちでいっぱいですね。またお話もそうですし、歌も一筋縄ではいかない楽曲なので、そこをどう消化させていくか。これから初日までの期間で大変なことも多いだろうと思います。でも心から喜んで頂ける舞台をお届けできるように、初日まで没頭してお稽古したいです。

森の中から何が出てくるのかな?というワクワク感の溢れた作品ですが、おっしゃった通りの多彩なキャストの方々が集結しているなか、宝塚の先輩である毬谷友子さん、湖月わたるさん、朝海ひかるさん、麻実れいさん(声の出演)もいらっしゃいますね。

とても心強いです。同じ舞台に立たせていただいたことはない方々で、私がファンとして客席や映像で拝見していた皆さんなので、そういう意味ではドキドキもしますが、先輩方がいらしてくださるのは本当にありがたいことで、お稽古場で色々と見て学ばせていただきたいなと思っています。

演じる魔女役のイメージとしてはどうですか?

まだ役柄に入り込めてはいないので、私自身も全くわからない状態ではあるのですが、逆にこういう役とは決めずに、演出の熊林弘高さんをはじめ、キャスト、スタッフの皆様と一緒に、お稽古場で生まれてくるものを大切にしたいですし、私が持っているものも全てオープンにして挑みたいなという気持ちでいます。映画版も、舞台も、魔女役がキーワードになる歌を歌っていたりもするので、そこは強くお届けできるように作り上げていきたいです。あとはハッピーエンドの夢が叶った裏側と言いますか、夢が叶った時の喜びと怖さを私自身も感じているので、この作品の中でそれが見えてくるんじゃないかなと思っていて。ですからまず私がこの森の中に迷い込んで見ることが1番大切かなと感じますし、それを消化してお客様にも森に迷い込んでいただけるようなミュージカルになるといいなと思います。

そんな新たな挑戦に邁進していらっしゃる望海さんですが、宝塚雪組で望海さんからバトンを引き継いだ彩風咲奈さんのお披露目公演『CITY HUNTER』-盗まれたXYZ-『Fire Fever!』が上演中で、Rakuten TVでは東京宝塚劇場公演千秋楽の様子がライブ配信されます。

私も舞台を観に行かせていただいたのですが、さきちゃん(彩風の愛称)がもうお披露目とは思えないぐらいしっかりしていて、何年間かトップをやっていたんじゃないかなと思うほど堂々と真ん中を務めていることがすごく嬉しかったです。相手役の朝月希和ちゃんも隣にいて、二人で走り出したスタート、二人ならではの空気感に観ていてジーンときました。周りの皆も知っている仲間たちばかりなのですが、皆がお披露目に対して、もう1回新しい組を作るんだという気持ちで向かっていっているそのエネルギーが、私がいた時とは全く違う色になっていて素敵でした。特にお芝居でああいう軽快なタッチのものって私は全然しなかったので、ちょっと羨ましいです。私はなんであんなに重い作品ばかりやっていたんだろうと思ったりもして(笑)。また新しいカラーを作り出しているので、すごく良いスタートだなと思いました。ショーも新トップコンビならではのダンスシーンが満載で、皆で大汗をかきながら、走り回ってお披露目公演を作り上げよう、皆のエネルギーで盛り上げようと頑張っている姿に元気をもらいました。

『CITY HUNTER』は役柄が多いこともあって、本当に皆さんが大活躍でしたよね。

そうですね。色々な人たちが出てきてセリフを交わすのは、とても良い経験だなと思います。

またこの公演は望海さんとずっとご一緒に頑張ってこられた同期生の沙月愛奈さんの退団公演でもあって、望海さんは大劇場の千秋楽に駆けつけられたんですよね。

はい!私もまさかこんなに早く、また大劇場の舞台に立てるとは思っていなかったので、それも含めて同期のあゆみ(沙月の愛称)に感謝なのですが、私を見送ってくれた後に、自分自身が卒業しようと思ってくれていた。その愛や優しさを感じましたし、彼女がここまで走り続けてきたなかで、最後までダンスや舞台に対しての熱い思いを持っていることがビシビシと伝わってきて号泣でした。もちろんあゆみだけではなくて、退団者のみんなが笑顔で大劇場を卒業できて本当に良かったので、このまま東京公演も元気に走り抜けて、無事に千秋楽を迎えて欲しいなと思います。たとえ劇場に行けなくてもこうして千秋楽のLIVE配信という素敵な機会がありますので、たくさんの方にこの舞台を観ていただけたら嬉しいです。

これまでは限られた特別な方しか観ることができなかった千秋楽公演が、ライブ配信によってどこからでも観られるのは素晴らしいですね。

本当にありがたいことです。宝塚って独自の世界でハードルが高いのでは?と思われる方もいらっしゃれば、興味はあるけれどもチケットの取り方が分からないとおっしゃる方もいらしたのですが、配信だったら気楽に見てみようかなと思っていただけて。しかも見てくださった方が次は劇場に行きたいと思ってくださったというお声をたくさん聞いていますし、いまこういう状況でどうしても家から出られないと、悲しい思いをされている方にも、配信によってご自宅で安心して見ていただける。私たちにとってたくさんの方に観ていただけるのはとても幸せなことですし、家で、一人で観ているなら歓声もあげられるので、私も在団中からスケジュール的に劇場にいけない公演は配信で観ていましたが、もう言いたい放題で(笑)楽しんでいます。是非たくさんの方に観ていただきたいと思います。

これからも挑戦していこうと思うきっかけになった『エリザベート』のトート役

宝塚退団後、望海さんは精力的な活動を続けていらっしゃいますので、そのあたりもお伺いしたいのですが、まず『エリザベートTAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート』にご出演になりました。こちらはいま振り返っていかがですか?

『エリザベート』のガラコンサートは、宝塚を退団したのちに、もう一度男役を演じられるという、まるでご褒美のような楽しい時間でした。懐かしい宝塚OGの皆さんと一緒に舞台に立てたこともすごく嬉しかったですし、トートに初めて挑戦させてもらえたことも、守りに入るのではなく、これからも挑戦していこうと思えるきっかけになったと思います。

全日程ご出演のキャストの方々や、他の主要キャストの方々にお話を伺う機会があったのですが、やはり望海さんがトートで出演されるバージョンは、伝統を継承しつつ、ここから新しく生まれる『エリザベート』として、新たな表現をしたいと思って臨んだというお声がたくさんありました。

私にとってもトートは本当に挑戦で、期間も短いなかで、とても大きな役ですし、歴代トートの方々には到底及びませんが、自分が新しいものに向かっていく一つのきっかけになったらいいなと思っていたので、それを新しいものとして受け入れていただけたのはすごく嬉しいです。

そこから、初めてのコンサート『SPERO』が続いて、こちらも大変盛りだくさんな、素晴らしいコンサートでしたが。

ありがとうございます。とても大きな経験になりましたね。お稽古中から3ヶ月、ボイストレーニングを入れると4ヶ月ぐらいになる長い期間をかけて、自分自身を変化させていく。ある意味賭けではないですけれども、どう転ぶか分からない状態からスタートして、演出の川崎悦子先生をはじめ、周りのキャスト・スタッフの方々、皆さんが初日まで一緒に突き進んでくれたのはすごく心強かったです。「男役」というある種の鎧を下ろす、無意識についていたものを解き放つには、これくらいの期間がかかるんだなと感じましたね。もちろんまだまだなんですけれども、やっぱりそうしたことを毎日実感する日々でもありました。何よりも観に来ていただいた皆様と一緒に、素敵な音楽と共に楽しい時間を過ごして、挑戦する自分を見てもらえたこともすごく嬉しかったです。皆様が楽しんでくださるお顔を見られたことが大きな喜びでした。

期待に応えたいという気持ちが頑張る力になった

宝塚時代から歌唱力には絶大な定評がおありの望海さんですが、退団されてこれだけ短い期間に、ソプラノ音域の見事な声を聞かせてくださったことには、新鮮な驚きと感動がありました。

ありがとうございます!嬉しいです。とても大変だったのですが、ボイストレーナーの花れんさんが、私以上に諦めずに私の声と向き合ってくださったので、感謝でいっぱいです。何よりも皆様が楽しみにしてくださっている期待に応えたい、絶対にがっかりさせたくないという思いが頑張る力になりました。

その甲斐あって、本当に素晴らしい歌声でしたし、ピンクのお衣装も話題になりましたね。

演出の悦子先生と、衣装の十川ヒロコさんと考えていくなかで、はじめはもう少し守りに入ったというか、男役からの変わり目なので、お客様をびっくりさせないようなものを予定していたんです。でも進めていくうちに挑戦しているいまの気持ちを大切にしたいということで、デザインをガラリと変えていただきました。悦子先生がこういう色がいいのでは?こんな雰囲気は?と、結構ギリギリの段階でも様々な案を出してくださったので、本当に皆様のお力でということがあの衣装にも表れていたと思います。

また大変豪華なSpecialゲストが参加されました。ラミン・カリムルーさん、井上芳雄さん、海宝直人さんとの共演はいかがでしたか?

とても忙しい方々に出演していただいて、ご一緒に歌うことでしか生まれないものをそれぞれの方からたくさんいただけたので、スタート地点でこんなに素敵な方々とご一緒に歌わせてもらえたことを、つくづくありがたかったと思っています。デュエットしている時間に自分の声がどんどん導かれて変わっていくことを体験して、私自身すごく驚きましたし、励みにもなりましたのでいっそう歌を頑張っていきたいです。

そんな望海さんに現在Rakuten TVで視聴できる宝塚歌劇の作品から、おすすめの舞台を推薦していただきましたが、こちらの『星逢一夜』は、当時の雪組トップコンビ早霧せいなさんと咲妃みゆさん、そして望海さんの強力なトリオが「宝塚の誇るトリデンテ」と言われた時代の作品ですね。

思い出深い、本当に忘れられない役であり、作品です。『星逢一夜』は宝塚でこういう作品をやるんだと、初めてご覧になる方にも興味を持っていただけるもののひとつでもあったので、この機会に是非まだ観たことがないという方にも観ていただきたいなと思いました。これだけ小さい子供時代、10歳から、トップさんを含めた上級生がやるのはとても珍しくて。だいたい子供時代は下級生がやるところを、自分たちで出来たというのもすごく楽しかったですし、心にぐっとくる涙なしでは見られない作品なんです。本当に美しい世界観で、ここに生まれてきて、変わりゆく時代をひとり一人が守り抜いて、戦い抜いて繋げて行ってくれたんだなということを感じる、日本人で良かったなと思える作品でもありました。もちろんその分大変でしたが、挑戦し甲斐のあった作品です。

特に演じた源太役について、感じていたことや大切にしていたことはありますか?

ただの優しい人じゃなく、守るべきものや譲れないものがあるということは強く意識していました。泉に対して、また幼馴染であるのちの晴興、紀之介に対しての深い思いもありつつも、人間にはそう簡単にはいかない心の動きがあるじゃないですか。そもそもどの身分に生まれてきたかによって、特にこの時代は自分の生きる道が決まってしまう。源太はその悲しさを体現している役だったのかなと。晴興は晴興でそうなんだと思いますし、そこをしっかりとなくさないように毎回演じることを強く意識していました。あとは本当に素朴であれと思っていましたね。大劇場の空間ではあるのですが、源太が素朴でいればいるほど晴興との対比も見えますし、作品の面白さにも繋がると考えていました。

ちょうど最近早霧さんと共演される機会もおありでしたが、この時代の思い出としてはいかがですか?

ちぎさん(早霧の愛称)とゆうみちゃん(咲妃の愛称)とは、舞台上でお芝居をすることで心の交流をしていたなと感じます。本当に二人共舞台のことだけを考えて走り抜かれていたので、それに自分も舞台上で関わることでたくさんのことを学びましたし、充実した時間を過ごさせていただきました。ただ『星逢一夜』は二本立てのショー『La Esmeralda(ラ エスメラルダ)』も含めて本当にしんどくて、皆それぞれいっぱいいっぱいだったということを、当時は言えなかったのですが、後々になってちぎさんやゆうみちゃんと「実はしんどかったよね」と話して、笑いあえたのもいい思い出です。毎日本当に生きるか、死ぬかぐらいの気持ちだったので。その努力というか、力の結集を是非この機会に観ていただきたいです。作・演出の上田久美子先生の絵作りもとても美しいので、綺麗な映像で観てください。

集大成で挑んだカッコ悪いことがカッコイイ男役像

ミュージカル『INTO THE WOODS-イントゥ・ザ・ウッズ-』のお話のなかで、夢が叶うというのは同時に怖いことでもあるとおっしゃいましたが、望海さんは宝塚歌劇でトップスターになられた、究極の夢を叶えられた方ですが、「宝塚」と言われて、パッと思い出す景色はどんなものですか?

舞台の上での、雪組のみんなと、そしてお客様と同じ空間を過ごした時間ですね。特にパレードで全員が舞台に立っている、あの景色が大好きでしたので、その瞬間が目に浮かびます。

宝塚のパレードの美しさというのは、私達観客側にとっても特別に感じるものですが、そのなかで望海さんは様々なキャラクターを演じてこられました。なかでも特に思い出の多いお役はありますか?

『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』のヌードルスですね。小池修一郎先生がずっとやりたかった作品でもあるのですが、私自身も男役の集大成としてやってみたい男役像がヌードルスだったので、それができたことはすごく嬉しかったです。ちょうど宝塚の卒業も発表していて、コロナ禍で公演がストップしてしまうなど、本当に色々なことがあったのですが、全てを受け入れて、それでも前に進んでいくヌードルスに、私自身が力を得たと思います。

望海さんがヌードルス役で目指した男役像を言葉にしていただくとすると?

カッコ良くないというと語弊があるかも知れませんが、カッコイイって二枚目だからですとか、型が決まっているからではないんじゃないかと。むしろカッコ悪いところがカッコ良いと言うか、本当に人間味がある、フェロモンとかではない人間としての色気みたいなものがにじみ出るのがいいなぁと思っていました。下級生でがむしゃらに頑張っている時には、周りの人との競争もありますし、どうしても力が入ってしまったりするのですが、トップになって男役としてのゴールが見えているぞという時に、ひとつ力が抜けた、人としての余裕や色気が出せたらと思って演じていました。あとは少年時代から壮年時代までを一人で演じるというのは、男役としてやってみたかったことだったので、それをさせていただけたのも嬉しいことでした。

どこか力の抜けた素の笑顔を観て欲しかった

言葉が適切ではないかも知れませんが、一見宝塚の主人公らしくないお役柄で、きちんと宝塚の主人公でいらした本当にすごいなと思った作品だった記憶が強烈ですが、もうひとつショー作品の中で忘れられないというものはどうですか?

『Music Revolution!』の「Music is My Life」の場面が大好きだったのと、『SUPER VOYAGER!』の最後に、白い衣装で、全員で出てきた場面の二つは忘れられないです。『SUPER VOYAGER!』はトップスターとしてのお披露目公演で、全員で大階段を使って、皆でひとつのものを作りあげるという挑戦を最初にできたのがとても嬉しかったですし、皆の頑張りによって綺麗な景色が見えた、皆によって作られるものに感動したのをすごく覚えています。『Music Revolution!』の「Music is My Life」は、ある程度自分も組も落ち着いてきた頃にみんなで臨めた場面で、普段のみんなのふとした笑顔、このショーを皆様にお届けするんだ!という力強い笑顔ばかりではなくて、どこかで力が抜けた笑顔をお客様に見ていただきたいなと思って、結構私がアドリブで日々色々なことをして、みんなと一緒に笑いあった、普段あまり見られないものをお客様にお届けできたというのが嬉しかったです。

「Music is My Life」は、望海さんご自身のキャッチコピーのようにもなりましたよね。

そうですね。中村一徳先生が、私がインタビューで話した言葉をとりあげて場面にしてくださったので、それも含めて大切な思い出です。

もう一つ挙げてくださったのが望海さんのトップスターとしてのプレお披露目公演だった全国ツアーのショー『“D”ramatic S!』ですね。こちらは元々早霧せいなさんの退団公演のショー作品でしたが、望海さんがトップになられるにあたって、「D」要素が加わると発表になった時には、演出の先生ってなんてすごいんだろうと衝撃的でしたが

私もびっくりしました。当時はやっぱり早霧さんの退団公演の作品をやるということに対して、怖さもあったんです。ファンの方がとても大切にされている退団公演の作品を、自分のプレお披露目でするというのはすごく重いもので。でも「S」から「D」にマークがついた時に、そうやって受け継いでいく、引き継いでいくという意味の題名を見た瞬間鳥肌が立ちました。あぁ、こうやって引き継いでいくんだなと。

まさかここにキーワードが隠されているとは!と思いました。こちらの映像は全国ツアーの千秋楽のものですが、プレお披露目で全国を回られて、たくさんの思い出がおありなのでは?

それはたくさんあります。色々なことが初めて尽くしで、ファンの方にもすごく喜んでいただけた時間でもありましたし、全国ツアーの各地で公演することによって、ただ緊張してプレッシャーに感じていたところから、少しずつ舞台を楽しんでいけるようにもなりました。大劇場公演ではないので、雪組全員が出ていた訳ではないのですが、それでもみんなに支えてもらって、これからスタートしていくんだということを感じるショーでした。早霧さんの時のお別れを描いた絆の場面が、ここからのはじまりを表現する場面になっていたり、デュエットダンスも作り直していただいたり、引き継ぎつつここからスタートしていくんだという、たくさんの方の思いを感じる温かい公演でした。

いま拝見すると、皆さんが客席に降りてこられて、ハイタッチをしてという、まるで夢のようだと思う美しい映像ですが、お話の出たデュエットダンスを一緒に踊られた、真彩希帆さんとのトップコンビのお披露目でもありましたね。

お互い必死過ぎて、当時はただただ日々をこなしていたのですが、いま思えば二人のコンビとしての形を探る作品でもあったのかなと思います。二人で色々話しながら作っていく、大きな経験になりました。

特定の相手役がいらっしゃるというのは、トップスターになられた方だけが経験する形かと思いますが、トップコンビであるということについてはどうでしたか?

責任がもう一つ増えるような感覚はすごくありましたね。私がそう受け止めたということなのですが、それまでは自分のことをとにかく頑張ればよかったところから、隣にいる相手役も含めて自分自身なんだと、そう思って挑んでいかないといけないと感じました。

ここからお二人の様々な素晴らしい舞台が作られていく訳ですが、そんな望海さん時代の途中からファンになられた方も多いと思うので、そういう方々にもお二人のコンビとしてのはじめの一歩を、映像で観ていただけるのも素敵ですね。

そうですね。数少ない初々しい私達を(笑)是非観て楽しんでいただけたらと思います。

こうして様々な時代をまた観ることができるのはとても嬉しいですし、これからの望海さんのご活躍にも期待しています。最後に新しい舞台ミュージカル『INTO THE WOODS-イントゥ・ザ・ウッズ-』を楽しみにしている方達にメッセージをお願いします。

私自身がとてもワクワクしています。絶対に皆様に喜んでもらえる舞台をお届けしたいので、是非楽しみに待っていていただけたら。魔女役ということで、今までは男役をやっていましたから、女性の役で舞台に立つという意味では私自身にもとても大きな挑戦にはなるのですが、宝塚時代に培ったものを大切に、作品と役に向き合って作っていきたいと思うので、変わらない部分と、新たな部分の両方を楽しみに観にきてくださったら嬉しいです。

2021/11/14(日) 13:30 公演

雪組 東京宝塚劇場公演 千秋楽

『CITY HUNTER』『Fire Fever!』

販売期間

11月7日(日)10:00 ~ 11月14日(日)13:30

販売価格

3,500円(税込)

販売は終了しました

Rakuten TVで好評配信中

星逢一夜(’15年雪組・東京・千秋楽)

レンタル(7日間)価格

550円(税込)

詳細はこちら


(c)宝塚歌劇団

Rakuten TVで好評配信中

“D”ramatic S!(’17年雪組・全国・千秋楽)

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(c)宝塚歌劇団

Profile

望海 風斗

のぞみ ふうと

2003年宝塚歌劇団に89期生として入団。
2017年雪組トップスターに就任。
『ファントム』、『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』、『fff-フォルティッシッシモ-』に出演するほか、「anan」創刊50年の歴史の中で現役トップスターとして初の表紙に抜擢、歌手としてもナオト・インティライミプロデュース「夢をあつめて」を配信リリースしiTunesチャートで1位を獲得するなどいくつもの快挙を成し遂げる。2021年4月退団後、5万人を動員する全国ツアー『SPERO』開催。
『INTO THE WOODS』(2022/1/11~31日生劇場、2022/2/6~13梅田芸術劇場メインホール)が退団後初のミュージカル出演となる。チケット好評発売中。

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