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真彩希帆さん Rakuten TV 独占インタビュー

2021年4月に宝塚歌劇団を卒業した真彩希帆さん。望海風斗さんの相手役として雪組トップコンビとして活躍された時間は、お二人が揃ってお持ちだった豊かな歌声が「当代一の歌唱力コンビ」と謳われ、数々の素晴らしい作品を残しました。そんな真彩さんに今回は、宝塚時代の思い出を徹底フォーカス。娘役として目指し続けてこられたことの原点と、エポックメイキングの数々、すっかり一ファンに戻ったという新生雪組の舞台。そして真彩さんおススメのRakuten TVで視聴できる宝塚作品のお話をたっぷりと語っていただきました。
(撮影/岩村美佳、取材・文/橘涼香)

真彩希帆さん
お芝居のなかで、役として歌いたいという大きな目標

今回は宝塚時代のお話をたくさんお伺いできるということで、まず、真彩さんは初舞台、組まわり(※初舞台ののちすぐに組配属が決まる現在とは異なり、研究科一年の間は組に所属せず、グループに分かれて各組に出演していた時代の呼称)を併せて、花、月、雪、星、宙全組に出演されている、かなり珍しいご経歴をお持ちですよね。

そうなるのかなと思います。娘役でははじめて、とお聞きしたことがありますので。

そうしたご経験を改めて振り返っていただいて、これがご自身のエポックメイキングだなと思うことからお話いただけますか?

いくつかの大きな出来事、タイミングがあるのですが…。私は宝塚音楽学校に入学し演劇に触れていく中で、お芝居のなかで歌いたいという目標ができました。ただ歌いたいではなくて、芝居歌を歌いたい!と。ですが同時に、まずお役をいただけるようにならないと、娘役は特にむずかしいだろうなとも思いました。そのようなことを考えている中で、花組に配属になって明日海りおさんのディナーショーで、『ロミオとジュリエット』のナンバーをデュエットさせていただけたことは、自分にとっての一つ目の大きな出来事だと思います。

私も幸運にも拝見しているのですが、あのデュエットは鮮烈で大評判になりましたよね。こんなに美しい歌声の娘役さんがいるのかと。

いえいえ、本当に未熟でした。配属前、組まわりで出演した月組の『ロミオとジュリエット』で、戦力になりたい!と必死にカゲコーラスをしていたのですが(笑)その事を明日海さんがとても覚えていてくださって…。その後、明日海さんが花組に組替えされディナーショーを行う際に「カゲコーラスを一生懸命やっていた姿が印象的だから『ロミオとジュリエット』のエメを奈津子(真彩希帆の愛称)と一緒に歌おうと思ったんだよ〜」とご本人から伺い、とても嬉しかったです。

それは最早、運命的ですらありますね。

私にとっては話しかけるなんてとんでもない!という雲の上の方とデュエットできる機会をいただき、ありがたかったのと同時に、何事も手を抜かずこれからも真剣に取り組もうと思いました。

本公演は心底大切に、新人公演は命を懸けて

そこから、ご自身としては更にどんどん追求しようと?

本公演は全ての場面を心底大切に務める。そして新人公演は命を懸けてやる、と決めました。特に新人公演は東西の劇場でたった1回ずつの舞台に全てをぶつけるので、そこで結果を残せなかったら、終わり。という気持ちがありました。大変有難いことに『愛と革命の詩』のユディット、『ラスト・タイクーン』のエドナ、『エリザベート』のマダム・ヴォルフと新人公演でソロのあるお役をいただき、如何に芝居歌として表現していくかを考える機会をいただきました。新人公演で「この子は誰?」と一人でも多くのお客様に興味を持っていただけたら大成功だ!と。本公演で探してくださったら嬉しいな。とも思っていました。

それは探しますね。あの方はどこにいるんだろう、とプログラムとにらめっこして、「あ!いらした!」と見つけると嬉しくて。

できるならその時に「新人公演と全く印象が違う!」と思っていただけたらと。『エリザベート』の本公演ではエリザベートの親戚の娘役をいただいていたので「あ、マダム・ヴォルフと全然違う!」と観る方に楽しんで頂きたいとすごく意識しましたね。何より楽しかったです。朝新人公演の自主稽古をして、本公演を二回やって、また夜新人公演のお稽古というスケジュールが楽しくて、寝る間を惜しんでやっていました。自分でもよく出来ていたなぁと思います。今なら眠くなっちゃいます!(笑)

それだけ情熱が強かったということですよね。

宝塚歌劇の役に立つ人間になりたい!という思いもずっとありましたし、アドレナリンも出ていたんでしょうね。ですからエポックメイキングと訊いていただくと、芝居歌を目指したこと。それを追求し続けた新人公演の数々が浮かびます。

芝居についてとことん話し合える望海風斗さんとの特別な出会い

そうした時代を経て、雪組に組替えになり望海風斗さんの相手役としてトップ娘役の地位に就かれる訳ですが、その時に感じていたことは?

新人公演時代から、本公演の上級生の皆様がお役を三ヶ月毎日体を壊さずやり続けるということはどれだけ凄いことか、という思いは強く持っていて。お披露目公演の『ひかりふる路~革命家マクシミリアン・ロベスピエール』まで新人公演にも出ていましたが、今までと同じ考えで新人公演全力100%。本公演は100%でやってもまだまだ足りないのでそれ以上に頑張らねばと思って公演していました…。そして公演が進んでいくなかで200%以上で三ヶ月続けるのは無理なんだと学びました。身体がもたず、私には命は二つはないのだと気づきました。

それは無理もないですよ!

本当に当時を思い出すと、楽しみに来てくださったお客さまに対して申し訳ない思いで今でもいっぱいです。気づいたことも多々ありましたが…。我ながら猪突猛進な人間だなと思います(苦笑)。

その猪突猛進に(笑)臨んだトップ娘役としては、何を大切になさっていましたか?ひと公演ごとに膨大な出番をはじめ、やることが本当に多かったかと思いますが

ペース配分はすごく考えるようになりました。200%は無理でしたが、100%ならいくらでも頑張れたので、寸暇を惜しんでひたすら舞台に邁進していました。ただその中でも当たり前のことなのですが、一番は絶対に喉をつぶさないということでした。それが4年の間果たせたのは嬉しかったですね。

そうした日々に目標とされていた芝居の役として歌うということが、トップ娘役さんとしては日常的になった訳ですが、そちらについては?

星組時代にもありがたいことに役として数々歌わせていただく機会がありましたが、やはりトップ娘役という立場で、ひと公演通し役で1人の役を生きて、役として歌うということは、「芝居」が大事だと考えました。そこに取り組む時に、相手役の望海風斗さんがいらしたことはとても大きかったです。何よりも望海さんがやりにくいと感じる表現はできないし、したくない。その上でアドバイスとして望海さんが「今の自分に必要なことは、役から教えてもらえる」ということをおっしゃってくださって。そのお言葉通り、いただいたお役に沢山のことを気づかせてもらいました。

ひとつ一つの役から教わることがあるということでしょうか?

そうです、そうです。それが積み重なっていき、自分の限界に挑戦し続け、4年間望海さんと舞台について話し続けられたのがありがたかったです。やはり学年が離れていることもあって、舞台経験値も、人生経験値も足りない私は望海さんのお考えは想像もつかないものだったりしたこともありました。それでも、決して諦めずに、舞台をよくする為にはどうするかをお稽古場はもちろん、時には帰宅してからも、お休みの日でさえもお話してくれました。お芝居で歌いたい、役として歌いたいというところから、ここまで役、芝居、歌、ダンス、舞台について、とことんお話させていただける、舞台をよくしたい!という同じ熱い想いの望海さんと出会えた。この経験は本当に特別でした。

そんな宝塚を卒業されて、新生雪組をご覧になった時はいかがでしたか?

さきさん(彩風咲奈の愛称)を中心に、皆がとても輝いていて、すっかり一ファンに戻って、ただただ楽しく拝見しました。特に宝塚の良さって、Rakuten TVでもたくさん観ていただくことができますが、様々な座談会や企画を通して、キャストが演じていない時の人となりを皆さんに知っていただける。その上で演じている姿も観ていだけるということだなと思っていて。そのアットホームな感じが大好きなんですが、組長のにわさん(奏乃はると)の警視総監が、三姉妹の娘に言われっぱなしになっている姿などに(笑)にわさん本来のお優しさが出ていて、あーいいなぁって。自分がもう戻れる世界ではないですが、十分にやりきったという思いがあるからこそ、心から楽しめてほっこりしました。

皆さんと楽しさを共有したい『鈴蘭(ル・ミュゲ)─思い出の淵から見えるものは─』『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』

そんな真彩さんに、Rakuten TVの膨大な宝塚関連映像のなかから、是非皆さんに視聴していただきたいというおススメ作品を推薦していただきましたが、まずひとつめが星組時代の礼真琴さん主演の2016年バウホール公演『鈴蘭(ル・ミュゲ)─思い出の淵から見えるものは─』こちらは真彩さんにとって、バウホール初ヒロインの作品ですね。

そうなんです。私は新人公演でヒロインをさせていただくより前に、バウホールでヒロインを務めさせていただいたので、通し役も初めてでしかもオリジナル作品ということで悩みに悩みました。でもこの作品の前の『ガイズ&ドールズ』の新人公演で、礼さんが演じられたアデレイドをさせていただいていたので、親鳥子鳥のように(笑)四六時中役についてのお話や、質問もさせていただき、しかも礼さんがなんでも受け止めてくださる方でしたので、ここで相手役をさせていただくに当たっても、礼さんに全てご相談しながらやっていけたのがとてもありがたかったです。

全体にミステリー仕立てになっている作品でもありましたね。

そうなんです。エマちゃんも心に闇と言うか、様々な疑問や鬱屈を抱えている役で、比較的私が演じていく役はそういう設定がとても多かったのですが、先生方から私が生来持っているものが明るく、どんな状況の中でも心の中に希望が見えるからこそと言っていただいたりもしたので、その原点の役でもあったのかなと思っています。

私はたまたまバウホールのかなり前列のしかも一番上手端で拝見したので、改めて映像で見ると「ああこう見えていたんだ!」という発見もたくさんあったのですが、真彩さんからのおススメポイントはありますか?是非ここを観て欲しいという。

『鈴蘭』のデュエット曲はどれも本当に大好きで、礼さんとハーモニーを重ねられるのがとても嬉しかったので、デュエット曲は是非聞いていただきたいです。また、まるで少女漫画のような所謂胸キュンな台詞がたくさんあって、特にラストシーンのリュシアン(礼の役名)とエマちゃんが交わす会話は楽しんでいただきたいですね。

あそこは本当に良いですね!トップ娘役になられてからの大人の女性とはまた全く違った魅力があって、トップ娘役時代に真彩さんのファンになられた方にも楽しんでいただけますね。

きっと新鮮に感じていただけると思います。礼さんが本当にカッコいいですし、キュンとしたい!というご気分の時に、是非ご覧いだきたたいと思います。

もう1本が花組時代の、トップスター蘭寿とむさんの退団公演のショー『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』。こちらは2014年作品ですから、真彩さんが研2~研3になったばかりという時期ですね。

大好きなショーだったんです!蘭寿さんは私が花組配属になった時のトップスターさんで、お稽古場から本当にカッコ良くて大好きでしたから、その方の退団公演ということで思い入れが強いです。主題歌も大好きですし、鬘や髪飾りにこだわり始めたのもこの公演で、蘭乃はなさんがマーメイドでかぶっていらっしゃるカツラもすごく可愛いですし、その時の花組には、桜一花さん、華耀きらりさん、花野じゅりあさんなど、皆さんが試行錯誤してとことんこだわった髪飾りを作られる上級生がたくさんいらしたので、自分もちゃんとこだわりたい!と思って『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』だから∞のマークを頭につけよう!と(笑)そういうことも含めて、自分の気持ちとしては「楽しかった!」という思いが強いので、その楽しさを是非共有していただきたいですし、宝塚のショーって年月が経ってから見ても絶対に面白いし、その時には気づけなかった色々な発見もあるので、皆さんにも観ていただきたいです。

いま拝見すると、どうしようトップさんばかり!ポスターに入っていらっしゃる方ばかり!とドキドキします。

わかります!男役さんもですし、娘役さんも「男役さんの隣に寄り添っているお二人ともトップ娘役さんだ!」ということもたくさんあるので、こうして映像で振り返られるって本当に素敵なことだと思いますから、是非楽しんでください!

真彩さんおすすめ作品①

鈴蘭 -思い出の淵から見えるものは-(’16年星組・バウ・千秋楽)

©宝塚歌劇団

レンタル(7日間)価格

660円(税込)

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真彩さんおすすめ作品②

TAKARAZUKA ∞ 夢眩(’14年花組・東京・千秋楽)

©宝塚歌劇団

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Profile

真彩 希帆

まあや きほ

埼玉県出身。2012年宝塚歌劇団入団。宙組公演『華やかなりし日々』『クライマックス』で初舞台を踏んだのちに花組に配属。14年星組へ組替え、16年に『鈴蘭(ル・ミュゲ)─思い出の淵から見えるものは』でバウホール公演初ヒロインを務めたのを皮切りに、数々の作品でヒロインを演じる。17年雪組に組替えしトップ娘役に就任。『ファントム』のクリスティーヌ・ダーエ、『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』のデボラなど、豊かな歌唱力を生かした多彩な役柄で魅了した。21年『fff─フォルティッシッシモ』『シルクロード─盗賊と宝石』で宝塚歌劇団を退団後、女優としての活動をスタート。ミュージカル『ドン・ジュアン』のヒロイン・マリア役をはじめ、ライブ活動も積極的に展開している。2022年2月帝国劇場で上演されるミュージカル『笑う男 The Eternal Love―永遠の愛』のヒロイン・デア役(熊谷彩春とダブルキャスト)での出演が控えている。

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