1 いずれあなたが知る話 ボロアパートで一人娘の綾を育てているシングルマザーの靖子。弁当屋だけの稼ぎではやっていけず、綾のために風俗で生計を立てることに。 ある日、帰宅した靖子は綾が誘拐されたことを知る。しかし靖子は、綾を取り戻すことを選択しなかった。綾が人生の全てである靖子が、なぜ取り戻そうとしないのか......。その日から、靖子の秘密のルーティンが始まる。誰にも知られていないはずのその行動を、一人の男がじっと見つめていた。 ¥550 2 渇いた鉢 暗い部屋で独り、パソコンの光に照らされ浮かび上がる男の姿。松村大地は無心に検索画面に言葉を打ち込み続けている・・・彼は3年前に最も愛する家族を突然の見知らぬ狂気によって奪われてしまっていた。 幼い娘を手にかけた犯人、いたずらに家族を責め立てて妻を追い詰めたマスコミや野次馬への憎しみ。何よりも2人を守れなかった自分に対する抱え切れない自責の念。 時と共に簡単に忘れられ、風化していく事件。余りにも深い孤独の中、彼が今も生きる理由とは。松村大地はまたフラフラと街へ歩み出す。 ¥550 除外キーワードで絞り込む を除く