1 空のない世界から DVを受けた旦那から逃げ出してきた麻衣香(兒玉遥)が辿り着いた場所は、郊外にポツリと佇むラブホテル。誰にも知られぬよう、住み込みで働きながら娘のさくら(つむぎ)を育てて早7年、さくらは小学校に通う年齢に。しかし戸籍を取得しておらず、麻衣香は娘にどうしてあげたらいいのか分からない。そんな時彼女の背中を押したのは、世の中から「必要ない」とされている人々だった。 ¥550 2 夜明けまでバス停で 2020年11月の深夜。寒空の下、大道路沿いにあるバス停の細いベンチに、うつむくように腰をかけた三知子(45)が、このところ「いつものように」仮眠をとっていた―。以前、三知子は居酒屋で住み込みアルバイトとして働いていたが、突然のコロナ禍により仕事と家を同時に失ってしまう。コロナ禍で新しい仕事もなく、ファミレスや漫画喫茶も閉まっている。途方に暮れる三知子の目の前には、街灯が照らし暗闇の中、そこだけ少し明るくポツリと佇むバス停があった―。これは、ある日誰にでも起こりうる、日本の社会の危惧すべき現状を描いた物語である―。 ¥550 除外キーワードで絞り込む を除く