1 憧れのハワイ航路 岡田秋夫と山口五郎は同じ学校の出身で、今でも「うきよ」という小さな飲み屋の二階に一緒に下宿していた。二人とも貧乏暮らしで、岡田は夜間中学の英語教師で、山口は画を描いているが、何かにつけて助け合っていた。岡田は音楽に関心を持って暇さえあれば歌を歌っていたが、そんな彼はハワイで生まれて、母が死んでから父を残して日本の学校で青少年時代を過ごしたが、戦争のため父親の消息はわからなくなり、その面影を懐かしみながら、ハワイ時代の思い出に浸っていた。「うきよ」の女将・みきは初婚に失敗し、二人の子供を残して家出をし、現在の亭主・松吉と連れ添っていた。みきが子どものことを忘れられずにいると、偶然に岡田が花売りの娘を救う。その娘・君子こそみきの子どもであった・・・。 ¥330 除外キーワードで絞り込む を除く