1 シンプルな情熱 「去年の九月以降、私は、ある男性を待つこと———彼が電話をかけてくるのを、そして家を訪ねてくるのを待つこと以外、何ひとつしなくなった―」パリの大学で文学を教えるエレーヌは、あるパーティでロシア大使館に勤めるアレクサンドルと出会い、そのミステリアスな魅力に強く惹かれ、たちまち恋におちる。自宅やホテルで逢瀬を重ねる度に、彼との抱擁がもたらす陶酔にのめり込んでいくエレーヌ。今まで通り、大学での授業をこなし、読書も続け、友達と映画館へも出かけたが、心はすべてアレクサンドルに占められていた。年下で気まぐれ、妻帯者でもあるアレクサンドルからの電話をひたすら待ちわびる日々の中、エレーヌが最も恐れていたことが起きてしまう──。 ¥440 2 ビフォア・ザ・レイン 『ビフォア・ザ・レイン』は三部で構成されている。そしてそれらは、舞台をマケドニアからロンドンへ、さらにもう一度マケドニアへと巧みに移動し、登場人物を交錯させ、微妙に繋がりながら最後には映画全体がメビウスの輪の如くねじれた循環構造になっている。 ¥440 3 天国にちがいない 〈ナザレ〉映画監督のESは、自宅で物思いにふけっていると庭で隣人がレモンの木から果実をもぎ取っている。また別の日、ESがレストランで酒を飲んでいると、向かいのテーブルで柄の悪い兄弟がウェイターにクレームを出していた。そんな日常を過ごしながら新作映画の企画を売り込む為、彼は旅に出る。〈パリ〉ホテルの部屋から外を眺めると、怪しげな若者を警官が電動一輪車で追いかけている。その後、映画会社を訪ねたESだが、プロデューサーから新作企画をあっさりと断られてしまう。失意の中、ホテルに戻った彼は次の街へと旅に出る。〈ニューヨーク〉公園に佇むESは池のほとりにいる少女の天使を目にする。だが裸になり逃げ回る彼女を警官が追いかけると、天使は羽根だけ残し消えてしまう。その後、映画会社「メタ・フィルム」を訪ねたESだが、またもやあっさりと断られてしまう。〈再びナザレ〉自宅に戻ったESにいつもの日常が訪れて…。 ¥440 除外キーワードで絞り込む を除く