1 白兎姫(はくとひめ) 王子と私の夢語り 啓元(けいげん)大陸――人々が霊力を身につけていることが常識とされる地に生まれたことを、路卿卿(ろ・けいけい)は嘆いていた。どうしたことか彼女には霊力がなく、そのせいで屋敷から出ることさえ禁じられていたのだ。ある日、近所の子供たちのいたずらで、白いウサギに姿を変えられてしまった卿卿は、使用人たちが止めるのも聞かずに屋敷の外へと逃げ出す。街を走り回るうち、馬車にぶつかってしまう卿卿。その馬車から降りてきたのは、晋(しん)王――啓元随一の霊力者で、今は亡き南宮(なんきゅう)王の長子・一昕(いっきん)だった…。 ¥220 無料あり 2 天機十二宮~陰謀と2つの愛~ 大金が盗まれた事件で朝廷から追われることとなった組織「天機十二宮」。その頭領の一人である沈爻(しん・こう)は、組織の汚名をすすぐため、警察組織である刑律司に潜り込もうと都にやってくる。街で出くわした刑律司の万筠霊(ばん・いんれい)の窮地を救った沈爻は、筠霊の幼馴染で刑律司をとりまとめる総捕頭の玉長風(ぎょく・ちょうふう)の目に留まる。筠霊は、十二宮の事件の咎で冷遇されている兄の潔白を明らかにしようと、皇帝の娘という身分を隠して刑律司となっていたのだった。筠霊を助けたことと、都で起きた事件の解決の一端を担ったことで、沈爻は晴れて刑律司の一員となる。筠霊は、何かと軽口を叩く沈爻が不愉快でならない。しかし、刑律司として共に都で起きる事件を解決していくうちに、新しい世界を見せてくれる沈爻に少しずつ惹かれていく。そんな二人の姿に、密かに筠霊を思い続けてきた長風は心中穏やかではない。そんなある日、長風は、かつて襲われた刺客と沈爻が親しげに話しているところを目撃してしまい… ¥220 無料あり 除外キーワードで絞り込む を除く