1 パーフェクト・ノーマル・ファミリー 北欧の国デンマークのアカデミー賞と呼ばれるロバート賞で9部門にノミネートされ、メイクアップ賞、児童青少年映画賞を受賞した『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』は、女優として活動したのち、数多くの短編映画を発表してきたマルー・ライマン監督の長編デビュー作だ。近年、世界中でセクシュアルマイノリティの多様性や人権に光をあてた映画、TVドラマが盛んに作られているが、本作はトランスジェンダーをカミングアウトする当事者ではなく、その娘である少女の視点で全編が語られる点が新鮮にしてユニーク。この1990年代末を背景にした家族の物語は、11歳の時に父親が女性になった経験を持つライマン監督の自伝的な作品なのだ。 ¥440 2 声もなく 普段は鶏卵販売をしながらも、犯罪組織から命令され死体処理などの裏稼業で生計を立てる、口のきけない青年テイン(ユ・アイン)と相棒のチャンボク(ユ・ジェミョン)。ある日、犯罪組織のヨンソクからの無茶な命令で、身代金目的で誘拐された11歳の少女チョヒ(ムン・スンア)を1日だけ預かることになる。ところが、依頼をしたヨンソクが組織に始末され、ふたりは予期せず誘拐事件に巻き込まれていくことに… ¥440 3 私はヴァレンティナ トランスジェンダーのヴァレンティナは、出生届にある名前ラウルではなく、通称のヴァレンティナで新しい学校に通う手続きのために、蒸発した父親の行方を捜している。トランスジェンダーであることを隠しながらも、新しい友人や生活に慣れ始めたころ、ヴァレンティナはパーティで見知らぬ男性に体を触られる。この事件をきっかけに、彼女はSNSでのいじめや脅迫、暴力事件に巻き込まれていく。 ¥440 4 タルサ 俺の天使 2年前に母親を亡くし、里親先の養母に虐待を受けたことで行き場を失った9歳のタルサ。福祉士のジェイリーンが彼女の預け先に困っていると、タルサは聖書の間に挟んでいた写真の男を父親だと言い張った。突然、父親と言われたトミーは強引なタルサに押し切られ、DNA検査の結果が判明するまで彼女を預かることに。修理工場を営むトミーの家は乱雑で生活も荒れていたが、タルサはトミーが寝ている隙にタバコと酒を処分、福祉局の面談に間に合うようにとせっせと掃除をしていく。自分の生活にどんどん入り込むタルサに振り回されながらも、トミーは利発で母親のような彼女との暮らしがまんざらでもなくなっていた。だが、トミーの心には、誰にも言えぬ深い傷があって…。 ¥330 5 ジョゼと虎と魚たち 卒業を控えた大学生のヨンソク (ナム・ジュヒョク) は、ある日、道端に倒れている車椅子の女性に遭遇する。彼女を家まで送り届けたヨンソクは、お礼に夕飯を振る舞われる。足が不自由な彼女は祖母と二人で暮らしていた。ジョゼ (ハン・ジミン) と名乗る彼女は本で知識を得ることが好きで、独特な感性をもつ。そんな自分だけの世界観をもつ魅力的なジョゼに、ヨンソクは段々と興味をもっていく──。 ¥440 6 潔白 幼い頃から父親の虐待を受け続けたジョンインは、家を飛び出し今ではソウルでエリート弁護士として名を馳せていた。そんなある日、父親が亡くなりその葬儀場で殺人事件が起きたことを知る。農薬入りのマッコリで多数の被害者を出したその事件の容疑者は、母のファジャだった。ジョンインは十数年ぶりに故郷に帰り拘留されている母と面会するが、母はショックのあまり急性認知症を患い、ジョンインのことを覚えていなかった。ジョンインは、母の潔白を証明するために弁護を引き受け事件について調べ始める。偽装された証拠、嘘の供述、警察のずさんな捜査。まるで、村ぐるみで母を犯人に仕立て上げようとする不穏な空気を感じるが―。 ¥440 7 砕け散るところを見せてあげる 平凡な日々を送る濱田清澄はある日、学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃に出会う。玻璃は救いの手を差し伸べてくれる清澄に徐々に心を開くようになるが、彼女には誰にも言えない秘密があった…。その秘密に気づき始めた清澄に<恐るべき危険>が迫り、友人の田丸や尾崎姉妹も心配する中、物語は予測できない衝撃の展開を見せていく。この物語は、ラブストーリーなのか、サスペンスなのか…。ラストは世代を超えた壮大な愛に包まれる。 ¥440 8 滑走路 厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務に追われる中、理想と現実の狭間で苦しんでいた。ある日、陳情に来たNPO団体が持ち込んだ“非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリスト”の中から自分と同じ25歳で自死したひとりの青年に関心を抱き、死の真相を探り始める。30代後半に差し掛かり、将来的なキャリアと社会不安に悩まされていた切り絵作家の翠。子どもを欲する自身の想いを自覚しつつも、高校の美術教師である夫・拓己との関係性に違和感を感じていた。幼馴染の裕翔を助けたことをきっかけにいじめの標的になってしまった中学二年生の学級委員長。シングルマザーの母・陽子に心配をかけまいと、攻撃が苛烈さを増す中、一人で問題を抱え込んでいたが、ある一枚の絵をきっかけにクラスメートの天野とささやかな交流がはじまる。それぞれに“心の叫び”を抱えた三人の人生が交錯したとき、言葉の力は時を超え、曇り空の中にやがて一筋の希望の光が射しこむ―。 ¥440 9 ノマドランド 本編 企業の倒産とともに、長年住み慣れた企業城下町の住処を失った女性、ファーン。彼女の選択は、一台の車に亡き夫との思い出を詰め込んで、車上生活者、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩くことだった。毎日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流とともに、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく…大きな反響を生んだ原作ノンフィクションをもとに、実在のノマドたちとともに新しい時代を生き抜く希望を、広大な西部の自然の中で発見するロードムービー。 10 グッドボタン 暴走する若者たち 現実社会でも、誹謗中傷などのいじめ、行き過ぎるいたずら画像の投稿など、社会問題に発展しているSNS。そんな時代を反映し、フォロワーやいいね!欲しさに、過激になる女子学生たちを描いたサスペンス・スリラー!面倒なことから自分を守るため、時に激しく他人を攻撃してきた1人の少女。ある日、自身の不注意で友人を転落死させてしまった彼女は、対抗する同級生を殺人犯に仕立て上げるのだが…。SNSなどを使った巧妙な彼女の細工が大人たちをも巻き込むことに。果たして、暴走する彼女を止めることはできるのか? ¥330 11 もみの家 監督自身の生まれ育った富山県を舞台に、心を閉ざした彩花が、不登校やひきこもりなどの問題を抱える人々の自立を手助けする施設〔もみの家〕で成長していく様を描き出す。自然の中で土に触れ農作業すること、若者を見守り支える人々の存在を、農業と福祉、双方の目線から丁寧に物語の中に組み込んでいる。 ¥440