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日の名残り

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カズオ・イシグロのベストセラー小説をジェームズ・アイヴォリーが映像化した珠玉の名作。

1958年。ダーリントン邸の老執事スティーブンスのもとに、以前共に屋敷で働いていた女性ミス・ケントンから一通の手紙が届く。懐かしさに駆られる彼の胸に20年前の思い出が蘇る。当時、主人に対して常に忠実なスティーブンスと勝気なケントンは仕事上の対立を繰り返していた。二人には互いへの思慕の情が少しずつ芽生えていたが、仕事を最優先するスティーブンスがそれに気づくはずもなかった。そんな中、ケントンに結婚話が持ち上がる。それを知ったスティーブンスは激しく動揺するが…。

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日の名残りの評価・レビュー

3.8
観た人
5110
観たい人
4823
  • 4.0

    bluesmokeさん2021/10/26 16:33

    信頼できない語り手を通してのみ
    語りうる心の真実1/3
    カズオ・イシグロ(原作)
    ジェームズ・アイボリー(監督)

    信頼できない語り手(Unreliable narrator)というのは、主にミステリー分野に用いられる叙述トリックとして広く知られているものですが、たとえば1人称の語り手によって展開される筋立てをミスリードすることで、謎がブラインドされる手法のことを一般的には指しています。

    しかしこの手法はそうしたミステリー分野に限らず、本作の原作者であるノーベル賞作家のカズオ・イシグロ(英)や同じくノーベル賞作家のパトリック・モディアノ(仏)といった作家たちも愛用しており、カズオ・イシグロが「文芸的なテクニックだとは思っていない」と語っているように、ミステリーの仕立てというだけでなく僕たちの生の実感に深く訴える側面をもっています。

    この『日の名残り』はそうした「信頼できない語り手」がもつ普遍的な側面を自身の作風として確立したカズオ・イシグロを原作としており、イギリス文学を上質に描くジェームズ・アイヴォリーが監督を務めることでたいへん素晴らしい映画作品になっているように思います。

    原題は『The Remains of the Day』で、大英帝国の落日をある貴族に仕えた老執事スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)の視点で描いています。この老執事の視点というのが1つのポイントになっており、後世の歴史家が振り返るように高所大所(こうしょたいしょ)から描いたものではありません。

    これは上記の「信頼できない語り手」を用いたカズオ・イシグロの作風によるものですが、本作のような史実に基づいたものであれ『わたしを離さないで』のような虚構であれ、大きなマクロ的舞台を用意したうえで個人のミクロ的視点から物語られていくことになります。したがって老執事個人の心と体を通した見通しの悪い感覚とともに、アイロニーの鋭さを秘めながら話は展開していきます。

    鑑賞後の余韻が暴力性や不吉さを含みながらも、やわらかな残照のようにたなびくのはきっとそのためだろうと思います。



    第二次世界大戦(1939-45年)を挟みながら、大戦前夜の1938年(過去)と戦後の58年(現在)を通して描かれるイギリスの階級社会を生きた1人の男の揺らぎ。この揺らぎは父子関係、恋愛関係、社会関係の3つの関係で揺らぐことになります。またいずれの関係においても、執事のスティーヴンスが職務に忠実であろうとしたがゆえに生じたものであることにアイロニーが潜んでいます。

    父子関係は死に目にあえないというかたちで。恋愛関係はミス・ケントン(エマ・トンプソン)が屋敷を去っていくかたちで。

    そして社会関係においては3重に揺らぐことになる。1つはダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)の命令に従いユダヤ人の女中を解雇するかたちで。もう1つはその忠実さゆえに戦前/戦後の価値転倒によって糾弾される側にまわるかたちで。さらには執事としての価値を保証する階級社会そのものが変移するかたちで。

    それらは職務に忠実であろうとする執事のアイロニーとして描かれていますが、スティーヴンスはいかなる時も、ミクロ的な視点で執事としての誇りを守ろうとします。映画の中におけるミス・ケントンの役割は、僕たち後世から見た代弁者として存在します。彼女は上記の3つの関係で揺らぐ執事をすべての点において糾弾し、愛し、そして去っていく。けれど誰が彼を責められるだろうか?

    人間はいかなる時も、マクロ的にうごめく世界のなかでミクロ的に振るまうしかない。どれほど情報社会が発達していこうとも、その情報が「現在(いま)」という視点のなかでどのように見えるか/見えないかを後世の目から見ることは不可能であり、もしも見ることができたとしても、その後世もまた時代的制約を受けているはずです。

    また自由であるということは、むしろある不自由な地点に自らを位置づけ、そこで可能な限り善く生きようとする態度のことだろうと思います。そうでなければ自由であることは、その自由さゆえに簡単に人間を大海原のなかで座礁させてしまうことになる。スティーヴンスにとっての港は執事としての職務だった。

    ナチ政権のもとホロコーストの実行犯として裁かれたアイヒマン(1906-1962年)もまた、スティーヴンスのような男だったように僕には思えます(そして時代状況によっては僕自身もそうだったかもしれない)。しかしまた同時に人間はその港を離れることもできる。ラストシーンで、ダーリントン卿が亡くなり新しくやってきた屋敷の主人ルイス(クリストファー・リーヴ)が、迷い込んだハトを窓の外へ逃すシーンはその象徴として描かれているように思えます。

    自由であることや善く生きるということは、個人の意思の力によるものと素朴に考えているよりもずっと、それは直面するほどに原理的な難問となって立ち現れます。だからこそ物語は人間の自由と尊厳と愛の困難をユーモアとして示し、象徴としての鳩を飛ばそうとする。

    戦前のイギリス貴族から、戦後のアメリカ人へと主人を変えながら(世界覇権の移動)やはり執事として生きようとするスティーヴンスには、大英帝国の斜陽が投影されています。けれどそうした歴史的背景の象徴としてよりもむしろ、カズオ・イシグロ/ジェームズ・アイヴォリーが描き出しているのは、マクロ的視座に生きることの不可能性のように僕には思えます。

    だからこそ僕たちは、物語のなかの鳩を見届けようとする。このミクロな窓の外にどのように飛び立っていくのかを。たとえそれが窓の内側というミクロ的な視座からしか見えないものだったとしても。

  • 3.5

    もみすさん2021/10/26 07:17

    どこまでも仕事に徹する姿はすごいが、同時に2人の関係がちっとも進まず、とてももどかしい。最後の別れのシーンが切ない。

  • 3.7

    まことさん2021/10/25 06:54

    カズオ・イシグロ原作ということで少し前に脚光を浴びた英国映画

    原作も含めたタイトル付けが、いかにも日本人らしい感性を感じる

    シックで品のある大人の英国産ラブストーリー

  • 4.2

    湯っ子さん2021/10/24 11:34

    このどこまでも自分の職務に忠実で、職務に人生を尽くす男を演じたアンソニー・ホプキンスの繊細な演技が素晴らしい。原作では主人公の執事スティーブンスの自分語りであるところを、映像という三人称で表現することに見事に成功している。
    原作でも映画でも「品格」というキーワードが出てくる。スティーブンスが執事という仕事にもっとも大切なものであり、生涯をかけて手に入れようと固く自身に誓い努める姿に胸を打たれるとともに、それによって取り逃したと思われる幸せもある。
    お互いに、心の中には恋心があると薄々わかっていながら、歩み寄ることができなかったスティーブンスとミス・ケントン。否、ミス・ケントンは何度かスティーブンスにそのチャンスを与えているのに、スティーブンスはそれをことごとく袖にした。彼女があの泣き顔を見せているのに、そりゃないだろうよミスター・スティーブンス。でもそんなの彼が一番わかっていて葛藤してるんだろうと思うと切なくて私も涙した。
    歳月を経て、再会したふたり。きっと彼らが会うのはこれが最後だったろう。手に入ったはずの恋しいひとを見送りながらも、職務に人生を捧げた誇りを支えに立つ男の姿がそこにあった。

  • 3.7

    みずしーまさん2021/10/22 15:45

    ♡2021年122本目♡

    日系イギリス人カズオイシグロさんの小説を映画化した作品。ノーベル文学賞も受賞してる方で、ロンドンの本屋さんでは度々見かけてる! いつか原作も読んでみたいな〜。

    主人公の貴族の執事をアンソニー・ホプキンスが演じている。仕事一筋の執事がお屋敷での暮らしを振り返るストーリー。

    私生活がほぼなく、執事の人生を歩むスティーブンはある意味不器用でなんだか可愛く見える瞬間がある。笑

    静かな作品だけど、退屈にならず最後まで不思議と世界に引き込まれてた。

  • 4.0

    baronさん2021/10/19 21:54

    いやあ、すごい考えさせられるなあ。
    不器用なんだよな。
    本当に
    すれ違い
    そこに愛はあるのに。そのときの一言で全てが変わる。
    自分を偽って、それすらも仕事を通して気づかず、あるいは見ぬふりをして、避けて、自分の本当の気持ちに向き合わず、そして人とも正面から向き合わず、仕事を逃げ場にして。でも仕事場しか帰る居場所がないから。
    そしてまた自分の殻に閉じこもって。だってそっちの方が楽だから。自分が傷つかないで済むから。

    自分を見失い、自分の魂が本当に望むものはなにか、見失っているが、
    あのベンチでの一瞬は、彼に本当に望んでいるものに気づかせた一瞬だったのかもしれない。

    ある意味では、その時結婚しようってなってた若年執事2人の方が、「その時」は自分の気持ちに正直であり、自分で何が欲しいのかを問うことができており、「いま」を楽しんで生きている。ある意味で器用なんだよなあ。
    その後どうなるかは知らんし、置いておくとして。

    私は自分の気持ちと向き合って、正直に、そうしたらせめて自分は自由であり、幸せと思えるのでは。

  • 3.5

    Yoshiharuさん2021/10/16 14:06

    ラストで、A.PerkinsはE.Thompsonに何も言わなかった。ある意味カッコいい。
    カズオ・イシグロの作品だった。英国に渡ってから執事を雇っていたのかな?

  • 4.0

    中尉さん2021/10/08 17:53

    カメラワークもセリフ回しも音楽も全てが洗練されていて、美術や壮大な邸の景観も見事。

    スティーブンスの執事としての生きざまに心打たれた。心情を排して主人に仕えることが執事の務めだと信じながらも、主人の犯した過ちを認識している。そしてその“感情を排する”態度は、仕事のみならずスティーブンスの全てを形作ってしまったようである。
    感情を表に出すことを辞さないケイトンと、持つべき感情を隠すことが骨身にしみているスティーブンス。2人の対比する感情が、美しく悲しい物語を紡いでいた。

  • 3.7

    りょうたさん2021/10/01 01:02

    伝えたいことがあんまりわかんない。
    人が感情を失くすとスティーブンスみたいになるのかなって思った。
    正しい(?)ことをするよりも自分の感情にもっと素直になって行動できたらいいなと思った。

  • 3.8

    carol94さん2021/09/28 16:29

    原作を先に読んでいて、映画の評判も良かったので見てみました。
    原作とところどころ設定は違うけど、映画は映画で面白かったです。ただ、原作のラストがすごく好きなので、それが映像化されてないのは残念。
    エマ・トンプソン、アンソニー・ホプキンス、どちらも名演技でした。

    映画が面白かったという方は、原作も素晴らしいのでぜひ!

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    ※ニックネームに(エンタメナビ)の表示があるレビューは、2016年11月30日までに「楽天エンタメナビ」に投稿されたものを掲載しております。

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