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長江 愛の詩

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悠久の長江、息をのむほどの美しい叙事詩―

死去した父親の後を継ぎ、古めかしい小さな貨物船、広徳号の若き船長ガオ・チュン。心のよりどころを失った孤独な文学青年である彼は、夜空に花火が上がる上海の船着き場で双眼鏡越しにひとりの女性を目撃する。さほど若くはないその女性は生活に疲れた様子だったが、彼はなぜか胸のときめきを覚えた。翌日、ガオは機関室で錆びついた缶を発見し、一冊の手書きの詩集を手にする。「長江図」と題されたその詩集には、父親が20年前の1989年に創作したいくつもの詩が記されていた。違法の仕事を請け負って上海から長江遡る旅へ出発したガオは詩集に導かれるようにして、行く先々の街で出逢うアン・ルーという“ミステリアスな女性”との恋に落ちていく。不思議なことに彼女は以前上海で目撃した女性と同一人物で、ガオは次々と奇妙な体験をしていく…

詳細情報

原題
Crosscurrent
作品公開日
2018-02-17
音声言語
中国語/北京語
字幕言語
日本語
作品公開日
2018-02-17
制作年
2016
制作国
中国
対応端末
公開開始日
2018-08-08 00:00:00
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長江 愛の詩の評価・レビュー

3.6
観た人
333
観たい人
782
  • 4.0

    映画漬廃人伊波興一さん2021/03/22 22:15

    「ツィゴイネルワイゼン」「赤目四十八瀧心中未遂」の奇譚魂(スピリッツ)が21世紀の今、中国長江の悠久の流れに乗って蘇る

    楊超(ヤン・チャオ)
    「長江 愛の詩」

    楊超と書いてヤン・チャオと読む映画作家の「長江 愛の詩」はそのタイトルが想起させるように(遡行)が軸となっています。

    その(遡行)の手引きとなるのは邦題に冠された(詩)であるのは言うまでもありません。(原題は「長江図」です)

    それは映画の序盤でチン・ハオ演じる主人公ガオが機関室で見つける、さもありなん、という感じの古めかしい手書きの詩集です。

    西暦が具体的にテロップされているわけではありませんが、一筋の光明も射しこまぬような寂れた河口の船着場と全身油まみれの労務者たちの姿から、市場経済の発展と共に必然化する現代中国の格差の歪みが、ありありと感じとれます。

    「長江 愛の詩」の魅力は、そんな被写体となる風景や人物がいかにも克明に画面に映っているにもかかわらず、全ての存在そのものが希薄で、神話を思わせる簡素な影で彩られたまま私たちに寡黙に迫ってくる点にあります。

    何故そのような事が起こり得るのか?

    それは「長江 愛の詩」が現代中国が持つ殺伐とした現実感を避け、歴史の諸相や時代をこえた揺蕩(たゆた)う奇譚の範疇に位置しているからに他なりません。

    曇空も、広大な川もどこまでも広がっているのに、至るところで(現し世)とはほど遠い幽閉感がみなぎっているのはその為です。

    その中にあって、主人公ガオが長江を遡行する先々で再会と別れを繰り返すアン・ルー(シン・ジーレイ)という女性が、視線の動きやふとした身振りによって、無言の存在感や艶というべきものをスクリーンの隅々にまで行き渡らせているのがとりわけ素晴らしい。

    ガオが上海の夜空に炸裂する花火の灯のもと、初めて彼女を見た時はくたびれた中年女性のようだったのに、長江を遡るたびに生々しい美しさを帯びて若返っていきます。

    あたかも鈴木清順「ツィゴイネルワイゼン」の大谷直子や、あるいは荒戸源次郎「赤目四十八瀧心中未遂」の寺島しのぶ、古くは溝口健二「雨月物語」の京マチ子の存在のように、実在する人間か、幽霊か幻影か定かでない生死の不在によって、心の均衡が乱れかねない私たちに、その存在を異常なものとして映していないところが素晴らしいのです。

    「長江 愛の詩」におけるもうひとつの素晴らしい場面に、映画がいよいよ佳境に入る予見を告げるように出現する三峡ダムがあります。

    中国が誇りにする名高い巨大ダムですが、ここでは中国経済発展の象徴ではなく、それまでテロップに白く浮きあがる詩を私たちの視界から奪い、口調から画調に変わるように、ガオによる父母への追慕を一瞬で断ち切るメタファーとして堂々とそびえ立ちます。

    とはいえ、それが今日の中国の象徴的な縮図などと、はしたない解釈だけは慎むべき。

    現代社会の反映とか縮図という印象を残す程度なら、あらかじめ周到に敷いておいた伏線をじわりと利かせておけば充分なのですから。

    「長江 愛の詩」が21世紀にふさわしい新しい映画かどうかを問うつもりはありません。
    しかし画面の隅々にまで目を走らせれば走らせるほど、社会的背景や文化的制度から遠く離れていくように、光の明滅からなる様々な記号たちと戯れる細部に満ちています。

    そんな終わりに回収されがたいこの奇譚は、中国のある時代を、ヨウスコウカワイルカの化身に乗せて(彼岸)へと葬る覚悟のように不気味に私たちの瞳を響かせてくるのです。

  • 3.6

    mukoryoさん2021/03/05 20:14

    長江の風景描写が圧倒的で、ドキュメンタリーではないものの、本当に長江を旅した気分になった。
    古い船のポンポンいうエンジン音が眠気を誘いますが…
    劇中の詩は、雄大な長江流域の景色と真逆でかなり都会的で個人的で小さい詩のようで、そのギャップが興味深い。手書きの字体がとても良い。

    チン・ハオは、ドラマ『バッド・キッズ』の殺人鬼・サイコパス演技が素晴らしくて、どうやったらあんな顔できるのか不思議で、出演作をチェック中。今回ごく普通の男役が観られてよかった。

    シン・ジーレイは、ドラマ『如懿伝』では、常に計算高く敵となる貴人役でずっとギラギラしていた。今回は正反対に果てしなくピュアで儚げな女性を演じたのが観られてよかった。

  • 4.2

    kkcckkccさん2021/02/14 23:35

    ジャジャンクーとかの映画でやりすぎ飛びすぎって思うことが結構あったが、これが中間色になって中華的な表現の捉え方がなんとなくわかってきた気がする。
    ネタでもなんでもなくガチで自分の体と心が全体の縦軸と等しいっぽい
    あと恋人超美人

  • 3.6

    Sho3さん2020/12/31 17:26

    長江の河口である上海から源流まで船で登る。

    繋がってるような繋がっていないような物語が続くが、これは数多の人間の物語と数多の愛憎劇が繰り広げられた長江という時の流れを表現していると理解した。

    下流の高層ビル立ち並ぶ姿から、上流の墨画のような風景まで類稀な映像センスで物語る様子はなかなかに見応えがある。

    改めて長江や黄河を巡る旅をしたくなる作品。

  • 3.4

    ねこさん2020/10/14 17:34

    まるで長江に浮かぶ幽霊船を見るかのような映像が印象的だった

    ストーリーを追っても追わなくても、どうでもいいような気がする
    最後に残るのは悠久という言葉と、圧倒されたという感覚だけ

    途方もない年月ただそこに在り続けた長江こそが、この映画の主役なのだと思う

  • 3.5

    ノさん2020/09/08 07:17

    壮大な風景だとか美しい景観といった言葉を安易に誘発させないショットの厚みには唸るものがあったんだけど、ワンショットあたりの時間管理に関しては自分がいいと思うものの範疇の外にあって、堪能させてもらったと同時にいくらかのかったるさを覚えずにはいられなかった。

    それに、撮っている被写体の途方もない大きさに対し、いかにも不釣り合いな主演男女のルックスは何なのだろうと。

    終盤で船がUターンしたとき、そもそもこの船は何かに向かっていたのだろうかという不気味な感触が残った。

  • −−

    さようならギャングっちさん2020/09/04 07:22

    話はいたってシンプルで、主人公の男の船は長江の上流へ向かい、女性はその先々で待ち受けるも、上流へ行けば行くほど若返っている。しかし、女性は男を追っているので記憶は男性と同じ軸にある。つまり女性は長江の流れそのもので、長江の流れは時間の流れである。それに反して男性が見てゆくのは、修行僧になれなかった女性が無垢な少女に戻っていく過程だった。

    だからこそ名撮影監督リー・ピンビンのヤバさが際立つ。

    天才は自然に勝つ場合もある。笑 雄大な自然を前にしても慄くことなく実際の長江より美しく撮り、現代の「リアルこそ全て」「俺の正しさの前では嘘は全て無効」というクソストリート精神を持つもの全員を黙らせることができる彼の画は唯々自信に満ち溢れている。あえて自信のないショボショボの詩と対比させることで、画面に映らない自然の強さ(長江の圧倒的強度)を観客に感じさせようとしているのかもしれない。笑

  • 4.8

    ライラックさん2020/05/18 08:19

    難解さ漂う詩的な物語
    美しすぎるロングショット♪
    芸術的な演出に監督の才能を感じます
    リー・ピンビンが撮影する長江の
    壮大な映像美に感動しました♪
    暗がりの山峡ダムの抽象表現が凄まじい

    長江エレジーとセットで
    鑑賞すると儚い余韻を感じます

  • 4.5

    Porunacabezaさん2020/04/13 01:17

    ゆく河の流れは絶えずして、
    しかももとの水にあらず

    河岸の街の映像、美しい人
    弦楽器の音が胸に響く

    変わらないもの
    変わっていくもの

    長江を見て、いろいろ考えてしまう

    世界が穏やかになりますように

  • 1.5

    mat9215さん2020/03/15 23:32

    河を遡行するといえば『地獄の黙示録』、貨物船の水上生活といえば『アタランタ号」などという先行作品を想起する。本作の見所は山水画のような映像だけで、出会いを繰り返す男女の物語にはまったく心を動かされない。あと、場面転換ごとに船長の男がポエムを読むのも苦手。『パターソン』のバス運転手なら許せるのにね。

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    ※ニックネームに(エンタメナビ)の表示があるレビューは、2016年11月30日までに「楽天エンタメナビ」に投稿されたものを掲載しております。

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