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【連載】橘めいの『いつだってファイティングポーズ』
第22回 男と女のフレンドシップ協定
と宣言した矢先に「ホントかな？」と自分で自分がわからなくなっている迷える33歳です。
と言うのも、あたしにとってのセックスが『他者への興味』と『共感』ならば
別にそれってセックスじゃなくてもいいんじゃない？って思い始めちゃっているわけで。
『他者への興味』っていうのは、これはもうそのままなんだけど、
とにかく他人が何を考えてるのかってことに非常に興味があるのです。
だから男でも女でも関係なくて、年齢も関係なくて、
自分ではない人（＝世の中の人全員ってことになっちゃうけど）みんなが気になるわけ。
自分とまったく違うっておもしろくない？
あたしはあたしの人生しか生きてないわけだけど、たくさんの人と知り合って
これまでの人生や恋愛の話を聞くってことは、自分の知らない人生を垣間見れるってことじゃん。
読んだことない本、観たことない映画、聴いたことない音楽、行ったことのない国、
あたし以外の人があたしの知らないことをたくさん知ってる。
『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』の著者である湯山玲子さんが、
上野千鶴子先生と対談している『快楽上等！』という本があるんですけど、
その本の中で「秘境はアマゾンまで行かなくても、バーで隣の席に座った人で体験できる！他人が秘境だ！」
と湯山さんが言っていて、あたしはその考え方が大好きなんです。
この本もものすごくおもしろいのでよかったらぜひ読んでみてください！
もう１つの『共感』ていうのはここ最近のあたしのテーマで、
要するに「気持ちをシェアする」ってことです。
同じものを見て美しいと思ったり、同じ音楽を聴いてテンションが上がったり、
同じものを食べておいしいねって感じたりすること。
自分と、自分以外の人間が同じ時間と同じ感情を共有できるなんて尊くない？
もちろん完全に一緒ではないかもしれないけど、「楽しいね！」とか「よかったね！」とか、
誰かと一緒に喜び（悲しみも）を分かち合えるって本当に素晴らしいことだと思う。
セックスもそうだよね。
セックスは気持ちだけじゃなくて肉体的な快感までシェアするわけだから、
それってものすごく濃密なシェア体験であると思う。
でもどうやらここ最近は肉体的な快感よりも、感情をシェアすることの方が、
自分にとって大事なことになりつつあるのです・・・。
実は『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』と一緒に
『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』（著・栗原康／岩波書店）
という本を買って読んだんだけど、
この中に、「男と女がセックスじゃないならなんなんだ？」ってことに対する
ひとつのアンサーとも言うべきものが書いてあったのです。
この伊藤野枝という人は大正時代のアナキストで、同じくアナキストの大杉栄の妻でもありました。
（結婚3回、子どもは全部で7人。）
今から100年も前に結婚制度を否定し、不倫上等！自由恋愛！生きるということに貪欲に我儘に自分を貫いた人。
とにかくめちゃくちゃに欲望のままに突き進んだかっこいい女の人。
雑誌『青鞜』で貞操論争が起きた時には、そもそも貞操という発想がおかしい、
貞操と言うのは女を商品として扱うからこその不自然な道徳だと言い、
「私がもしあの場合処女を犠牲にしてパンを得ると仮定したならば
私はむしろ未練なく自分からヴァージニティを追い出してしまう。」と書いた。
シ、シビレる・・・！！
あたしはすっかり野枝に惚れ込んでしまった！
野枝は、古代から続いてきた女を所有物とする結婚制度というものを否定していた。
（この時代にはまだ「姦通罪」もあったんだよね。夫のいる女が不倫したら
女とその相手の男は死罪だよ・・・でもこれ今の時代もそう変わらないようなことが起きてるから怖ろしいよね。）
そして男は「夫」の、女は「妻」の役割を背負わされてしまう「家庭」という形式は、
どちらかが（大抵の場合は女が）もう一方を支えるために自分の生活を犠牲にすることになる、
じゃあこの「家庭」に捉われない男女の関係は何かということを野枝は『フレンドシップ』だと言った。
「親密な男女間をつなぐ第一のものが、決して『性の差別』でなくて、人と人との間に生ずる最も深い感激をもった『フレンドシップ』だということを固く信ずるようになりました。」と。
友情という上も下もない、支配も被支配もない関係。
ただ楽しいから一緒にいる、という関係。
お互いに優しさを持ち寄って、尊重し合う関係。
楽しいことは、誰かと一緒ならもっと楽しくなる。
自分一人では味わえない喜びを味わうことができる。
それそれ！それだー！フレンドシップ！
今あたしが求めているのはフレンドシップなのだ！
あたしあんまり男女の友情ということについて考えてこなかったクチなんですが、
これはいよいよ考えを改める時が来たな、と思いました。
そして次回はこのフレンドシップについてもう少し深く考え、
フレンドシップとセックスは両立できるのかってことについても考えてみたいと思います！
お楽しみに！
◆ライタープロフィール
橘めい
『Ladies Motivation Project』代表
（通称LMP＝すべての女たちがそれぞれ自分自身の美しさを肯定し、ありのままの自分を謳歌し、生き生きと力強く楽しんで生きることを応援するプロジェクト。）
モチベーター/ライター/イベントプランナー
男と女、恋やセックス、女の自意識と加齢などについて日々考え続けている33歳。酒と映画と男をこよなく愛しています。パワースポットは歌舞伎町（二丁目含む）。一応、一児（6歳男子）の母。
BLOG /『ハレンチには程遠い』
X / @TachibanaMay
提供：GIRL’S CH
